くるくるワイドは、魚屋さんが考案したFXの両建て手法です。大きな「本体」ポジションと、逆方向に並べる小さな「トラップ」注文を組み合わせます。決めたロスカット価格に届かない限り、出口で損益の合計がプラスになるように資金を配分するのが特徴です。
始めるときに守る8つのルールは計算例つきで整理し、必要資金の目安、スワップやスプレッドのコスト、儲からないと言われる理由も数字で確かめられるようにしました。考案者による解説は魚屋さんのホームページにあります。
この記事でわかること
- くるくるワイドを始めるときに守る8つのルールと計算例
- ロスカット価格から逆算する必要資金の目安
- スワップ・スプレッドのコスト試算と、儲からないと言われる4つの理由
くるくるワイドとは?
くるくるワイドとは、資金管理を主として両建てを行いながら利益を狙うトレード手法です。建てるポジションは主に2つで、大きなポジションを「本体」、小さな繰り返しのポジションを「トラップ」と呼びます。
くるくるワイドを始める前に
くるくるワイドをうまく運用するには、書籍に書かれている内容を最低限押さえておく必要があります。本気で始めるなら書籍を読んでおきましょう。初心者が1日勉強してすぐ実践できるものではなく、まずはデモ口座で計算に慣れてから本番に移りましょう。
くるくるワイドを始めるのに準備するものは?
くるくるワイドを始めるには、MT4が使えるFX口座、トラップを自動で並べるEA、EAを24時間動かすVPSの3つを用意します。
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くるくるワイドに必要な資金はいくら?
必要資金は、本体を何通貨持つかと、どこまでの逆行に耐えるかの2つで決まります。くるくるワイドでは、ロスカット価格を過去の最安値(本体がロングの場合)や最高値(ショートの場合)の付近に置きます。そこまで逆行しても口座が残る資金を用意するのが基本の考え方です。
計算しやすいよう、ドル円100円で本体をロングする場合で考えます。日本の個人向けFXはレバレッジが最大25倍なので、ポジションを持ち続けるには取引金額の4%の証拠金が必要です。
必要資金 ≒ 本体通貨数 ×(建値 − ロスカット価格)+ ロスカット価格での必要証拠金後の「2. 本体を建てる」の表にある「資金100万円に対して7万通貨」は、ロスカットが約89円に来る攻めた設定です。ドル円が75円台を付けた2011年の水準まで耐えたいなら、同じ7万通貨でも約200万円が要ります。
この表は、証拠金維持率100%でロスカットされる口座を想定し、トラップ・ヘッジの損益とスワップを除いた概算です。ロスカットになる維持率は業者ごとに違うので、使う口座の条件で計算し直してください。
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くるくるワイドのメリット・デメリット
くるくるワイドの長所は相場の方向を当てなくてよいこと、短所は資金の増え方が遅く、長い含み損に耐える必要があることです。
くるくるワイドのメリットとデメリット
くるくるワイドの基本ルール8つ
くるくるワイドには多くのルールやテクニックがありますが、基本的には以下の8つだけでも戦えます。
くるくるワイドの基本的な8つのルール
1. レンジを予測する
まずレンジになりそうなところを予測します。予測が難しい場合は感覚でも問題ありません。
2. 本体を建てる
レンジの高値付近なら本体はショート、安値付近ならロングを建てます。ポジション数は総資金と相談して決めます。
3. トラップを貼る
トラップをレンジの安値〜高値に貼っていきます。レンジ予想が100〜107円、本体が7万通貨の場合の計算例です。
よって100〜107円のレンジに10銭幅で70個のトラップを貼ります。手動では大変なので、自動売買してくれるEAを使いましょう(トラップEAの入手先は「くるくるワイドを始めるのに準備するものは?」で紹介しています)。
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4. ヘッジトレードを行う
ヘッジトレードとは、本体の損失方向へのリスクを減らすための裁量デイトレードです。出口に到達したときの本体利益からトラップ損を引いた金額の範囲で行うため、損切りになっても全体では損失が出ません。裁量が上手でなくても問題ないので、毎日遠慮せず行いましょう。
出口までの本体とトラップの損益
本体:100円でロング7万通貨
現レート 107.0 円(出口107円)
※記事の計算例(レンジ100〜107円、本体7万通貨、1,000通貨×70トラップ・10銭幅)を動かしたものです。トラップの損は記事と同じ概算式(保有数×1,000通貨×値幅÷2)で表示し、スワップ・スプレッドは含めていません。
くるくるワイドの計算例
よってレートが105円のとき、12.25万通貨の売りで、損切り107円・利食い104.9円(10銭)のトレードを行います。魚屋さんは10銭の利食いで4回を目標にしていますが、目標は個人の自由です。
5. 固定ポジションを建てる
ヘッジトレードで得た利益から、本体と逆方向に固定ポジションを建てます。本体と逆方向にレートが動いたときの損失を抑えるためのポジションです。損切り価格はレンジ幅の中心が目安です。
レンジ100〜107円、本体100円で7万通貨、現レート100円、ヘッジで3,500円獲得した場合、レンジの中心の103.5円を損切りにして1,000通貨の固定ポジションを建てます。
6. 複利を建てる
トラップで得た利益で、本体と同じ方向に複利を建てます。複利は3種類あり、考え方は同じでストップの位置が違うだけです。「ここからは下がらない(上がらない)だろう」という位置にストップを置きます。
7. トラップ幅を広げる
本体と逆方向にレートが動いた場合、トラップ幅を広げます。レンジ予想が100〜107円の場合の例です。
8. 仮想建値化を行う
本体と逆方向にレートが進み、固定ポジションの含み益が溜まってきたら、固定ポジションを利食いして仮想建値化を行います。仮想建値化とは「本体を〇〇円で建てたつもりになる」ことで、トラップ幅を広げなくて済む可能性があります。
例:本体7万通貨・レート100円で、固定ポジションに7万円の含み益がある場合、固定ポジションを利確し、その7万円を使って本体を99円で建てたつもりになります。
運用の流れと迷ったときの確認点
本体とトラップを建てたあとは、毎日のヘッジと逆行したときの調整を繰り返し、出口で本体を利食いして1サイクルが終わります。
くるくるワイドの運用の流れ
途中で計算がわからなくなったら、次の3点を確認してください。
- 出口のレートに達したときに、利益と損失の合計がマイナスにならないこと
- 自分が決めたロスカット価格が変わっていないこと
- 出口と逆方向に動くことだけがリスク。逆方向へのリスクを減らすトレード(ヘッジ・固定ポジション)を怠らないこと
どのような投資にも絶対という保証はありません。くるくるワイドも無敗ではないので、なくなってもいいお金でやりましょう。
くるくるワイドのリスクと儲からないと言われる理由
出口で合計がプラスになるように組んでも、くるくるワイドは負けない手法ではありません。「儲からない」「勝てない」と書かれた実践者の記録をたどると、崩れ方はほぼ次の4つに分かれます。
ロスカット価格を超えて逆行する
想定した最安値(最高値)を更新すると、本体は強制決済されます。それまでに積み上げたトラップの利益で埋まる金額ではないため、ここが手法で最も大きな損失です。
ロスカット価格を浅く置くほど少ない資金で始められますが、そのぶん到達する確率は上がります。資金を減らしたいなら、ロスカットを浅くするより本体の通貨数を減らすほうが安全です。
スワップポイントの支払いが積み上がる
本体は数か月から年単位で持つため、1日あたりは小さなスワップが損益に効いてきます。スワップは買いと売りで金額が違い、本体をショートで建てる場合や、本体と逆方向の固定ポジションでは支払う側に回ることがあります。
スワップの金額は各国の金利と業者の設定で毎日変わり、金利差が縮めば受け取り額も減ります。始める前に、使う口座の買いと売りの両方のスワップを確認しておきます。
試算として、外為ファイネストのMT4個人コースで2026年9月24日に付与されたスワップ(1日分・1万通貨あたり)を使います。
本体7万通貨を1年(365日分)持つと、ドル円の買いなら77円×7×365で約19.7万円の受け取り、売りなら181円×7×365で約46.2万円の支払いです。売りの支払いは、計算例の出口時の本体利益49万円にほぼ並びます。同じ通貨ペアでも、受け取りと支払いは同じ金額にはなりません。
スワップの水準も公開の仕方も業者ごとに違います。付与日によって数値が変わるため、必ず各社の公式ページで最新の値を確認してください。
スプレッドがトラップの利益を削る
トラップは1回あたりの利益が小さく、約定のたびにスプレッドを払います。1,000通貨・10銭幅のトラップなら、1回の利益は100円です。スプレッドが広がる早朝や指標発表の前後に約定が重なると、この100円から引かれる割合が大きくなります。
トラップ幅(1回の利幅)を狭くするほど、スプレッドの割合は大きくなります。10銭幅を5銭幅にすると、スプレッド0.2銭でも割合は4%に倍増します。約定回数を増やそうとトラップを細かくしすぎない、というのがそのまま対策です。
計算ミスと長い含み損に耐えられない
ヘッジの通貨数やトラップ幅の計算を間違えると、「出口で本体の利益がトラップとヘッジの損失を上回る」という前提が崩れます。本体・トラップ・ヘッジの損益を表計算ソフトで毎日記録し、デモ口座で計算を確かめてから本番に移るのが安全です。
もう1つは時間です。逆行を前提にした手法なので、含み損を抱えたまま数か月持つこともあります。改良版として「超くるくるワイド(倍ポジ法)」などの派生ルールを公開している実践者もいますが、出口での損益合計をプラスに保つという土台は変わりません。
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くるくるワイドの運用状況(Myfxbook)
現在は運用停止中です。
くるくるワイドのよくある質問
くるくるワイドについて、始める前に迷いやすい点をまとめました。資金・コスト・リスクの数値は、本文の試算と同じ前提で計算しています。細かな計算の手順は、それぞれの見出しの本文で確認してください。
Q1. くるくるワイドは儲からないって本当?
A1. 出口で損益の合計がプラスになるように組めば負けにくい設計ですが、負けない手法ではありません。ロスカット価格を超える逆行、スワップの支払い、スプレッド、計算ミスと長期戦の4つで崩れます。書籍タイトルの「年率200%」も目標であり、成績を保証するものではありません。
Q2. くるくるワイドはいくらから始められる?
A2. ドル円100円で本体を1万通貨持ち、ロスカットを75円に置く場合、必要資金は約28万円です(証拠金維持率100%でロスカットされる口座の試算)。資金100万円で7万通貨を持つと、ロスカットは約89円に来ます。
Q3. くるくるワイドに向いている通貨ペアは?
A3. 過去の最安値・最高値がはっきりしていて、スプレッドの狭い主要通貨ペアが扱いやすいです。ドル円はその代表です。一方向に動きやすい高金利の新興国通貨は、ロスカット価格を決めにくいため向きません。
Q4. スワップポイントはくるくるワイドの損益にどれくらい影響する?
A4. 外為ファイネストのMT4個人コースで2026年9月24日に付与されたドル円のスワップ(1万通貨・1日分)は買い+77円・売り−181円でした。本体7万通貨を1年持つと、買いで約19.7万円の受け取り、売りで約46.2万円の支払いになる計算です。数値は日々変わるため、使う口座の公式ページで確認してください。
Q5. くるくるワイドは手動でもできる?EAは必要?
A5. 本体と逆方向に70本前後のトラップを並べ、約定のたびに注文を入れ直すため、手動で続けるのは現実的ではありません。魚屋さんのブログでトラップEAのソースコードが公開されているので、MT4口座とVPSで24時間動かすのが一般的です。トラップ以外の本体・複利・ヘッジまでEAに任せる方法は、既製EAと自作コードを比べたくるくるワイドのEA化の記事で解説しています。
Q6. くるくるワイドの改良版はある?
A6. 実践者が「超くるくるワイド(倍ポジ法)」などの派生ルールを公開しています。細かなポジションの持ち方は違っても、出口で損益の合計をプラスに保つという土台は同じです。まず元のルールをデモ口座で試してから検討するのが安全です。
Q7. くるくるワイドはどれくらい練習してから始めるべき?
A7. 決まった期間よりも、ヘッジの通貨数やトラップ幅の計算に慣れるまでデモ口座で練習するのが目安です。書籍を読み、損益を表計算ソフトで記録しながら「出口で合計がマイナスにならないか」を毎日確かめられるようになってから本番に移ります。
まとめ
- くるくるワイドは本体・トラップ・ヘッジ・固定ポジション・複利の5種類のポジションで、レートを予測せずに利益を狙う手法
- 基本ルールは8つ。本体とトラップを建て、毎日ヘッジし、逆行したら仮想建値化かトラップ幅拡大、利益で複利
- 迷ったら「出口で合計がマイナスにならないか」「ロスカット価格は変わっていないか」「逆方向のリスク対策をしているか」を確認
- 必要資金はロスカット価格から逆算する。ドル円100円・本体7万通貨なら、ロスカット約89円で約100万円、75円まで耐えるなら約200万円
- 崩れ方は「ロスカット到達」「スワップの支払い」「スプレッド負け」「計算ミスと長期戦」の4つ。本体の向きと口座のスワップは始める前に確認する
- 始める前に書籍を読み、デモ口座で練習する


