窓埋めEAとは、週明けに金曜の終値と月曜の始値の間に開いた「窓(ギャップ)」が閉じる方向へ自動でエントリーし、金曜の終値で利確するEA(MT4などの自動売買プログラム)です。
使うかどうかの判断材料は、窓が埋まる確率の噂よりも、保有時間内に埋まる割合と月曜早朝のスプレッドです。窓幅10pips・損切り10pipsのルールでも、スプレッドが3pipsに広がると損益分岐の勝率は65%まで上がります。
週明け月曜の朝、チャートが金曜の終値から飛んで始まり、ローソク足の間にすき間(窓)ができていることがあります。このすき間が閉じる方向を狙うのが窓埋めトレードで、条件が「月曜の始値」と「金曜の終値」の2点で決まるため、EAで自動化しやすい手法です。
一方で「窓は7〜9割埋まる」という話は、調べた範囲では出典のある統計が見つかりませんでした。扱うのは、窓が開く理由と埋まる理由、窓埋めEAのロジック例と無料EA、自作EAの3通貨バックテストです。埋まらない週と週明けスプレッドの対策も、自動化の前に確かめたい順に並べています。
この記事でわかること
- 窓が開く理由(週末のニュース・業者ごとの取引開始時刻)と埋まる3つの理由
- 「7〜9割埋まる」の出典の有無と、何割勝てば損をしないかの計算
- 窓埋めEAのロジック例(擬似コード)と無料で使える窓埋めEA
- 自作EAの3通貨バックテストと、埋まらない週・週明けスプレッドの対策
FXの窓(ギャップ)とは?
月曜日の朝、下の図のように金曜の終値と月曜の始値の間にすき間ができたチャートを「窓」と呼びます。そのすき間を閉じる方向にチャートが動くことが「窓埋め」です。

なぜ窓が開く?
窓が開く理由は、土日に市場が閉まっている間もニュースなどで相場の材料が積み上がり、月曜朝の市場オープンと同時に注文が集中して価格が飛ぶことです。
- 土日に大きな事件・ニュースがあると、その方向に大きな窓が開く
- 土日の出来事が大きいほど、窓も大きくなりやすい
- 土日はポジションを動かせないため、週末までポジションを持ち続けるのはリスクが大きい
このリスクを避けるため、EAによっては週末クローズ機能が搭載されていたり、週をまたいでポジションを持たないトレーダーもいます。
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窓が開きやすい時間帯と業者ごとの取引開始時刻
窓が開くのは、ほとんどが週明け月曜の早朝です。平日は24時間取引が続くため、指標発表で急変しても値は飛びにくく、市場が止まる週末をまたいだときに価格の差がたまります。
ただし、月曜の取引開始時刻はFX業者ごとに違います。国内の多くのFX口座は午前7時前後に始まりますが、サクソバンク証券のように月曜の午前3時または4時から取引できる口座もあります(サクソバンク証券の取引時間のお知らせ)。早く始まる口座では、週末をまたいだ値動きが取引開始後の数時間に少しずつ現れるため、午前7時に始まる口座のチャートで見える窓が、小さくなったりほとんど見えなかったりします。
つまり、窓の大きさは「どの業者のチャートで見るか」で変わります。EAは業者のサーバー時刻で月曜の始値を判定するため、バックテストと実運用で同じ業者のデータを使うことが前提です。
なぜ窓は埋まる?
開いた窓が埋まりやすいとされる理由は、次の3つです。
窓が埋まると言われる3つの理由
利益確定
- 週末からポジションを持ち続けていた人の利益確定で、窓を埋める方向に動く
窓は埋まると思う人が多い
- 窓を埋める方向にポジションを持つ人が増え、その方向に動く
平均値に戻る性質
- 窓で移動平均線から大きく離れ、逆張りの人にとってはチャンスになる
週末からポジションを持ち続けていた人の利益確定
自分のポジションが予想外の利益になっていたら、いったん利益を確定したくなります。利益確定の注文はポジションと逆方向なので、チャートは窓が埋まる方向に動きます。
窓は埋まると思っている人が多い
窓が埋まると思っている人が多いと、窓を埋める方向にポジションを持つ人が増え、その方向にチャートが動きやすくなります。相場では、多くの参加者が動くと考える方向に注文が集まり、実際に値が動きやすくなります。
チャートは平均値に戻る
チャートは行き過ぎると平均値(移動平均線)に戻りやすい、という考え方があり、これを狙う手法は乖離トレードと呼ばれます。下の図は、窓が開いたチャートに移動平均線を重ねたものです。

窓が開いた瞬間、チャートが移動平均から大きく離れています。相場には常に順張りと逆張りの人がいて、逆張りトレーダーにとって行き過ぎた相場は絶好のチャンスです。そのため窓は埋められやすくなります。
窓が埋まる確率は?窓埋めに優位性はあるか
窓埋めを狙うトレーダーは多く、窓埋めEAのバックテストが右肩上がりになる例もあります。ただし窓が埋まる確率には出典のある統計が見当たらず、窓埋めトレード(ギャップトレード)の優位性は、自分のルールとコストで確かめる必要があります。
ただし「埋まりやすい」だけで、必ず埋まる保証はありません。埋めるまでの時間も数分〜数日とばらつきがあります。
「7〜9割埋まる」に出典はあるか
窓埋めの確率は、FX会社の解説でも「一般的には70%以上」(SBI FXトレード)、「8割程度」(松井証券)と書かれています。どちらも集計した通貨ペアや期間は示されていません。
出典のない数字が一人歩きしている、と見ておくのが無難です。
もう一つの落とし穴は「いつまでに埋まれば埋まったと数えるか」です。数日後や数週間後に埋まった窓まで数えれば確率は高く見えますが、当日中に決済するEAにとって意味があるのは、決めた保有時間内に埋まる割合だけです。
何割埋まれば利益が出るか(損益分岐の計算)
確率の数字より先に確かめたいのは、自分のルールで何割勝てば損をしないかです。利確を窓幅W、損切りをL、スプレッドをsとし、スプレッドは勝ち負けどちらでも1回払うと単純化すると、損益分岐の勝率は「(L+s)÷(W+L)」で求まります。
窓幅10pipsで損切りも10pipsなら、スプレッド0.3pipsの平日並みの条件では51.5%勝てば足ります。ところが週明けの早朝にスプレッドが3pipsまで広がると、同じルールでも65.0%が必要です。
損切りを窓幅の2倍に広げると勝率は上がりやすくなりますが、分岐点も76.7%まで上がります。「7〜9割埋まる」がかりに正しくても、保有時間内に埋まる割合とスプレッド次第で、利益が残らない水準です。
窓が埋まらないケース
窓が開いているかどうかだけで入らず、金曜までのトレンドや週末のニュースも見てからエントリーを決めます。
窓埋めEAのロジック例(エントリー・利確・損切り)
窓埋めEAのロジックは、窓幅でエントリーを絞る、金曜の終値で利確する、窓幅ぶんの逆行か時間切れで損切りする、の3点でできています。
表のルールをEAの処理順に書き直したのが、次の擬似コードです。MT4でもMT5でも、判定の流れは同じです。
// 窓埋めEAのロジック例(擬似コード)
月曜の最初のティックを受けたら:
gap = 月曜の始値 - 金曜の終値 // pipsに換算
if |gap| < 最小窓幅(例: 10pips) or |gap| > 最大窓幅(例: 100pips): 見送り
if 現在のスプレッド > 許容スプレッド(例: 3pips): 見送り
if gap > 0: 売りでエントリー // 上に開いた窓は下に埋まると見る
if gap < 0: 買いでエントリー
利確 = 金曜の終値
損切り = エントリー価格から |gap| だけ逆方向
保有中:
決めた時刻(例: 月曜の日本時間15時)までに決済されなければ成行で決済
スプレッドの判定をエントリー条件に入れておくのがポイントです。月曜早朝はスプレッドが広がりやすく、窓幅10pipsに対してスプレッドが3pips開いていれば、利幅の3割が最初から消えます。
窓埋めEAの利確と損切り(上に窓)
※記事のロジック例(窓幅10pips以上でエントリー、利確は金曜の終値、損切りは窓幅と同じ幅)を、窓幅12pipsの架空の値動きで示したものです。スプレッドは含めていません。
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窓埋めトレードをEAで自動化する(無料EA)
手動で窓埋めトレードをするなら、毎週月曜の早朝に起きて、市場オープン直後に窓が埋まる方向へポジションを持つ必要があります。平日の出勤前に毎週続けるのは大変です。
窓埋めトレードはエントリータイミングが単純なので、自動売買に向いています。トレーダーズプロでは「窓埋めシステム」、「窓埋めEA トレーリングストップ」というEAを無料で使用できます(TRADERS-pro経由で開設した口座に10万円または1,000ドル以上を入金すると、EAをダウンロードできます)。
なお「窓埋めシステム」には、連敗数に達するとロット数を上げるベッティング機能があります(トレーダーズプロの商品ページより)。負けが続いたあとに建玉が大きくなる設定なので、使う前にオン・オフとロットの上限を確認しておくと安心です。
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窓埋めEAを自作してバックテストした結果
窓埋めEAのロジックはシンプルなので、試しに作ってみました。エントリーは窓が開いたら、クローズは窓が埋まったら、という最も単純な条件です。3通貨ペアでバックテストしました。
USDJPY


3通貨ペアともプラスになったので、やはり窓埋めトレードには優位性がありそうです。
ひとつ割り引いて見るべき点があります。MT4のストラテジーテスターは、指定した固定スプレッド(または現在のスプレッド)で全期間を計算するため、月曜早朝だけスプレッドが広がる状況は再現されません。上の資産曲線は、実運用より有利な条件で出た結果として読むのが安全です。
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窓埋めEAの弱点とリスク対策
窓埋めEAを実際に稼働させてみてわかった弱点です。
窓埋めEAのよくある質問
Q1. 窓埋めEAとは何ですか?
週明けに開いた窓が閉じる方向へ自動でエントリーし、金曜の終値で利確するEAです。月曜の始値と金曜の終値の差だけで判定するため、ロジックが単純で自作もしやすい部類です。
Q2. 窓は何割くらい埋まりますか?
「70%以上」「8割程度」と書くFX会社の解説はありますが、集計した通貨ペアや期間は示されておらず、出典のある統計は確認できませんでした。EAで大事なのは、決めた保有時間内に埋まる割合です。
Q3. 窓埋めEAは無料で使えますか?
はい。トレーダーズプロでは「窓埋めシステム」と「窓埋めEA トレーリングストップ」を無料で使えます。ただし、会員登録と指定口座の開設に加えて、その口座に10万円または1,000ドル以上を入金する必要があります(動かせるのは指定口座のみ)(2026年10月時点)。「窓埋めシステム」には連敗時にロットを上げる機能があるため、設定を確認してから使ってください。
Q4. 窓が埋まらないのはどんなときですか?
強いトレンドの途中や、週末の重大ニュースで相場の前提が変わったときです。窓幅の上限(例:100pips)と時間切れの決済を決めておくと、埋まらない週の損失を抑えられます。
Q5. 月曜の何時にエントリーすればよいですか?
使う業者の取引開始直後です。月曜の取引開始時刻は業者ごとに違い、午前3〜4時台から取引できる口座もあります。EAの時刻設定は業者のサーバー時刻に合わせます。
Q6. 窓埋めEAの最大の弱点は何ですか?
月曜早朝のスプレッド拡大です。窓幅10pipsに対してスプレッドが3pips開くと利幅の3割が消え、損益分岐の勝率も上がります。スプレッドが許容値を超えたらエントリーしないフィルタを入れてください。
まとめ
- 窓は土日の出来事と月曜の注文集中で開き、利益確定・心理・平均回帰の3つの理由で埋まりやすい
- 「7〜9割埋まる」に出典のある統計はなく、強いトレンドや重大ニュースのときは埋まらないこともある
- 窓幅の下限・上限と時間切れの損切りをルール化する
- エントリーが単純なのでEAで自動化するのが楽。自作EAでも3通貨でプラスになった
- 朝のスプレッド拡大が最大の弱点。スプレッドの狭い業者で稼働する



