同じEAでも、ロット数しだいで「数回の連敗で退場するEA」にも「20連敗しても資金の8割が残るEA」にもなります。
EAのロット数は、1回の負けで失ってよい金額から逆算して決めます。式は「ロット=口座残高×リスク%÷(損切り幅pips×1ロットあたりの1pipsの価値)」です。
MT4のドル円なら、残高100万円・リスク1%・損切り20pipsで0.5ロットです。最大ドローダウンから逆算したロットとも比べ、小さいほうを上限にします。
決めたロットは、MT4ではEAの設定画面(F7キー)の「パラメーターの入力」タブで変更します。反映されるのは、変更後の新しい注文からです。
この記事でわかること
- リスク%から逆算するロット計算式と、残高別のロット早見表
- 最大ドローダウンから逆算するロットと、2つの式の使い分け
- 複利と固定ロットで連敗・増資後の資金がどう変わるか(計算例つき)
- MT4で稼働中のEAのロットを変更する手順と、反映されないときの確認点
- 複数ポジションEAで1ポジションあたりのロットを決める方法
EAのロット数が重要な理由
勝てるシステムを動かしても、ロットの決め方しだいではリスクを取りすぎて負けるシステムになります。逆に、負けるシステムはどんなにロットをいじっても負けます。
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固定ロットのまま放置するのも、同じくらい危険です。
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固定ロットで起きる2つの失敗
EAのロット数の決め方(ポジションサイジング)
ポジションサイジングとは、1回の取引で失ってよい金額から逆算して、発注するロット数を決める資金管理の手法です。どんなEAでも、最初は最低ロット(0.01ロット)で試します。EAがどう動作するのか、本当に優位性があるのかを確認するためです。問題なさそうなら、以下の方法でサイジングします。
リスク%から逆算するロット計算式
基本の式は次のとおりです。
ロット = n × 口座残高 ÷ ウォークフォワードテストから得た最大損失
n = 1回のトレードでリスクにさらす資金の比率(一般に0.02=2%より小さくする)
※最大損失40pips(ドル円)で計算。ロット=n×残高÷(最大損失pips×1,000円)。1,000円はドル円1ロット(10万通貨)の1pipsの価値。EAの損切り幅が違えば比例して変わる。
30万円・リスク1%・損切り40pipsのドル円なら、次の3ステップで0.07ロットになります。
- 許容損失額:30万円×1%=3,000円
- 1ロットで負ける額:40pips×1,000円=4万円
- ロット:3,000円÷4万円=0.075 → 0.01ロット単位で切り捨てて0.07ロット
端数を切り上げず切り捨てるのは、丸めた分だけリスクが1%を超えないようにするためです。
厳密には、モンテカルロ法(損益の順番を入れ替えて何千通りも試す分析)でリスクを確かめるのが理想です。計算が面倒なら、EAに最初からついている複利機能に任せる方法もあります。
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最大ドローダウンから逆算するロット
1回あたりのリスク%だけでは、連敗が重なったときの落ち込みの深さは読めません。そこで、EAの成績でいちばん痛い数字である最大ドローダウン(資産のピークからの最大下落額)からも、ロットを出しておきます。
式は「ロット=バックテストのロット×許容できる損失額÷(バックテストの最大ドローダウン額×2)」です。
最大ドローダウンを2倍に見積もるのは、将来のドローダウンが過去の最大値を超えることが珍しくないためです。EA販売サイトのGogoJungleも、推奨証拠金を「必要証拠金+最大ドローダウン×2」で算出しています。ドローダウンを余剰証拠金の半分までに抑える想定です。
例として、0.1ロットでバックテストした最大ドローダウンが12万円のEAを、資金100万円・許容損失20万円(資金の20%)で動かすとします。
ロットは0.1×20万円÷(12万円×2)=0.083なので、切り捨てて0.08ロットです。0.08ロットなら過去の最大ドローダウンは9.6万円、2倍に見積もっても19.2万円で、許容の20万円に収まります。
同じEAの損切りが40pipsなら、リスク1%のロットは前節の表どおり0.25ロットです。0.25ロットで動かしていたら、過去と同じドローダウンが来ただけで30万円(資金の30%)を失っていた計算です。
リスク%で出したロットと、最大ドローダウンで出したロットのうち、小さいほうがそのEAで取ってよいロットの上限です。
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必要証拠金ではなく損失額でロットを決める
ロット数を「証拠金が足りるかどうか」で決めるのは危険です。必要証拠金は注文を出すための担保で、負けたときに失う金額とは別物です。
国内FX業者の個人口座はレバレッジの上限が25倍です。ドル円を150円と仮定すると、0.5ロット(5万通貨)の想定元本は750万円で、必要証拠金は30万円です。一方、損切り20pipsで失うのは1万円です。
海外業者はレバレッジが高く、必要証拠金はさらに小さくなります。証拠金が足りる範囲でめいっぱい張ると、損切り1回で残高の数割が消える状態になりかねません。ロットは損失額から決め、必要証拠金は「その注文が出せるか」の確認に使います。
短期的に大ロットにする(上級者向け)
短期的にしか通用しない優位性を持つEAだとわかっている場合、短期的に大きなロットでトレードするのは戦略としてはありです。ただし、それだけの優位性と期間を見極める判断力が必要な上級者向けのテクニックです。普通は、ここまでの2つの式でロットを決めます。
複利(固定比率)と単利(固定ロット)はどう違う?
複利(固定比率)とは残高に対して毎回同じ割合のリスクを取る方法で、単利(固定ロット)は残高にかかわらず同じロットで取引する方法です。
複利は怖いイメージがあるかもしれませんが、言い換えると資金管理を自動で行ってくれる機能です。リスクにさらす資金の割合さえ間違えなければ、正しいリスクでロット数を自動算出してくれます。
複利運用のメリット
勝ち続ければ、資金を加速度的に増やせます。運用資金が少ない人、資金を一気に増やしたい人に向いています。
複利運用のデメリット
トレードで勝ち続けてもリスクが減らないことです。固定ロットなら、勝てば勝つほど残高に対するリスクが減り、破産確率が下がります。一方の複利はリスクの割合が一定のため、EAの調子が悪くなってドローダウンを食らったときの損失額が大きくなります。資金100万円・1回のリスク1%という同じ条件で、資金の推移を比べてみます。
※資金100万円・1回のリスク1%で計算。複利の10連敗は100万円×0.99の10乗、50勝50敗は100万円×1.02の50乗×0.99の50乗。勝ち負けの順番を入れ替えても結果は変わらない。
連敗だけを見ると、減り方がゆるやかなのは複利のほうです。残高が減るたびにロットも縮むためです。
複利の損失額が大きくなるのは、資金が増えた後にドローダウンが来たときです。200万円からの10連敗では、固定ロットの約2倍にあたる19.1万円を失います。勝ち続けた後ほど1回の負けが重くなる、というのが複利のデメリットの正体です。
複利と固定ロット、10連敗での減り方
200万円に増えた後の10連敗(10敗目)
※本文の表と同じ条件(資金100万円・1回のリスク1%)で計算。バーは各場面の開始残高を100%とした長さです。
複利機能の使い方
複利機能を使う場合、損失の割合を決めます。1トレードの損失が口座残高の1〜2%(上限5%)になるように設定するのが目安です。
EAによって複利機能の仕様はバラバラなので、パラメータの説明を読んで自分で判断するしかありません。
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MT4でEAのロットを変更する手順
MT4でEAのロットを変えるには、EAの設定画面にある「パラメーターの入力」タブで、ロットに当たる値を書き換えて「OK」を押します。EAを入れ直す必要はありません。変更が効くのは次の新規注文からで、保有中のポジションのロットは変わりません。
パラメーターの入力タブでロットを変更する
- EAが動いているチャートをクリックして選び、F7キーを押す(チャートを右クリック→「エキスパートアドバイザ」→「設定」でも開ける)
- 設定画面の「パラメーターの入力」タブを開く
- ロットの変数(Lots・FixLots・LotSize など、名前はEAごとに違う)の「値」欄をダブルクリックし、前の章で計算したロットを入力する
- 「OK」を押して閉じ、チャート右上のEA名の横の顔マークが笑顔になっていることを確認する
まだチャートに入れていないEAなら、ナビゲーターからチャートへドラッグ&ドロップしたときに開く設定画面で、同じタブから変更できます。「パラメーターの入力」タブの「保存」で設定を.setファイルに残しておくと、元に戻したいときに「読み込み」で復元できます。
固定ロットと自動ロット(複利)を切り替える
複利機能のあるEAは、どの値でロットを決めるかをパラメータで切り替えます。前の章の表のUseMM・MMなどがfalse(OFF)なら固定ロットの値(Lots・FixLotsなど)で発注し、true(ON)ならRisk系の値から残高に応じたロットを計算します。
自動ロットがONのままLotsを書き換えても、発注ロットは変わりません。固定ロットに切り替えたいときはMM系をfalseにしてから、Lots側に値を入れます。
稼働中のEAのロットを変えるときの注意
- 保有中のポジションは変わらない:新しいロットは変更後の注文から使われる。今のポジションを小さくしたいなら、手動で一部決済するしかない
- OKを押すとEAが初期化し直される:パラメータを変えるとEAの初期化処理がもう一度動く。ナンピン・マーチン系など複数ポジションを管理するEAは、内部の状態を引き継がない作りのものもあるため、ポジションがないときに変えるのが安全
- 業者の最小ロット・ロット刻みに合わせる:多くの業者は0.01ロット単位。合わない値はEAが丸めるか、注文がエラーになる
- VPSで動かしている場合:VPS上のMT4で変更する。手元のMT4を変えても、VPSのEAには反映されない
ロットを変更しても反映されないときの確認点
- 自動ロット(UseMM・MMなど)がONになっていないか。ONならLotsの値は使われない
- 保有中のポジションのロットを見ていないか。反映は次の新規注文から
- 同じEAを複数のチャートで動かしていないか。設定はチャートごとなので、変更したチャートと注文を出したチャートが同じかを確かめる
- ロットのパラメータがそもそもあるか。パラメータにロットがないEAは、利用者側では変えられないので販売者に確認する
- 「ターミナル」の「エキスパート」タブに、注文エラー(ロット数が不正など)のログが出ていないか
ロットを1回で大きく上げると、EAの調子が悪い時期に当たったときの損失も一気に増えます。前の章の式で出した上限を超えないように、段階的に変えてください。
複数ポジションEAのロットは単ポジションEAとどう違う?
複数のポジションを同時に持つEAでは、同じリスク1%でも1ポジションあたりのロットが小さくなります。ポジションの持ち方の違いが、そのままロットの違いになるためです。
複数ポジションを持つ場合
複数ポジションを持つEAは、エントリータイミングか決済タイミングをずらすものがほとんどです。

まず1つ目のポジションを買いで持ち、その後チャートが下がったらもう1つ買いポジションを持ちます。
1つ目は「上がったらいいな」という期待を込めたお試しポジションです。2つ目で「もっと下がってから持ちたい」「早めに決済して利益を確保したい」といった判断ができるため、相場に柔軟に対応できます。
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■複数ポジションを持つEAの例
BeeOne_USDJPY単ポジションEAの特徴
単ポジションEAは1つだけポジションを持つシンプルなEAです。
■単ポジションを持つEAの例
一本勝ち複数ポジションEAと単ポジションEAの比較
複数ポジションEAのロットは、同時に持つ最大ポジション数で割って決めます。式は「1ポジションあたりのロット=許容損失額÷(最大ポジション数×損切り幅pips×1pipsの価値)」です。
資金100万円・リスク1%(1万円)・損切り50pipsのドル円なら、単ポジションEAは1万円÷(50pips×1,000円)=0.2ロットです。最大3ポジションまで持つEAは1万円÷(3×50pips×1,000円)=0.066なので、1ポジションあたり0.06ロットが上限です。
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よくある勘違い:pipsで見ると複数ポジションEAの方が多く獲得しているように見えますが、そのぶん多くのリスクを取っているためです。EAは必ず利益と損失(リスク)をセットで見てください。取引頻度も実際より多く見えるため、バックテストの信頼性を判断するときは注意が必要です。
どちらを選ぶかは好みです。ロットを分割して持ちたい人や資金管理に慣れた人は複数ポジションEA、損失の上限を1つに決めておきたい人は単ポジションEAが向いています。どちらでも、1ポジションあたりのロットを上の式で決めていれば問題ありません。
※ロット数の考え方や複利運用、ポジションサイジングの理論はMT4・MT5どちらのEAでも共通して適用できます。
EAのロット数に関するよくある質問
Q1. EAのロット数はどうやって決めればいいですか?
A1. 「口座残高×リスク%÷(損切り幅pips×1ロットあたりの1pipsの価値)」で計算します。ドル円は1ロット(10万通貨)で1pips=1,000円なので、残高100万円・リスク1%・損切り20pipsなら0.5ロットです。
Q2. 1回のトレードのリスクは何%が目安ですか?
A2. 初心者は1%、慣れても2%以内が目安です。1%なら10連敗で残高の約9.6%、2%なら約18.3%を失います(0.99の10乗≒0.904、0.98の10乗≒0.817)。
Q3. 資金10万円なら何ロットで運用できますか?
A3. リスク1%(1,000円)なら、損切り20pipsのドル円で1,000円÷(20pips×1,000円)=0.05ロット、損切り50pipsなら0.02ロットです。損切りが100pipsを超えるEAは、最小の0.01ロットでもリスクが1%を超えます。
Q4. 最大ドローダウンからロットを決めるにはどうしますか?
A4. 「バックテストのロット×許容損失額÷(最大ドローダウン額×2)」で計算します。0.1ロットで最大ドローダウン12万円のEAを許容損失20万円で動かすなら0.08ロットです。リスク%で出したロットと比べ、小さいほうを使います。
Q5. 複利と固定ロットはどちらがいいですか?
A5. 連敗したときの減り方は複利のほうがゆるやかで、資金100万円・リスク1%の10連敗なら複利は90.4万円、固定ロットは90万円残ります。ただし資金が増えた後のドローダウンでは、複利のほうが損失額は大きくなります。損失額を一定にしたいなら固定ロット、残高に合わせてリスクを自動調整したいなら複利です。
Q6. 複数ポジションを持つEAのロットはどう決めますか?
A6. 許容損失額を最大ポジション数で割って決めます。資金100万円・リスク1%・損切り50pips・最大3ポジションなら、1ポジションあたり0.06ロットです。同じ条件の単ポジションEAなら0.2ロットです。
Q7. 稼働中のEAのロットを変更すると、保有中のポジションはどうなりますか?
A7. 保有中のポジションのロットは変わりません。F7キーで開く設定画面の「パラメーターの入力」でロットを変えると、変更後の新しい注文から反映されます。ナンピン系など複数ポジションを管理するEAは、ポジションがないときに変更するのが安全です。
まとめ
- 固定ロットのままだとリスクが大きすぎたり小さすぎたりする。一定リスクでロットを決める
- ロット=n×口座残高÷最大損失。nは2%より小さく、初心者は1%から
- 計算が面倒ならEAの複利機能を使う。リスク割合は1〜2%(上限5%)、MaxLotsで上限を設ける
- 複数ポジションEAはリスクも取引回数も多く見える。初心者は単ポジションEAから始める




