クオンツアナライザーでバックテストを分析すると、TOTAL PROFITやシャープレシオ、SQNスコアなど見慣れない英語の項目がずらりと並びます。どこを見ればいいのか、最初は迷ってしまいます。

この記事では、Overview画面に表示される分析結果の全項目について、「何を意味する数値か」「数値が高い・低いとどう判断すべきか」を一つずつ解説します。読み終える頃には、自分のEAのバックテスト結果を見て、どこが強みでどこにリスクがあるのかを自分で判断できるようになります。
なお、本記事の画面キャプチャは執筆時点のバージョンのものです。ご利用のバージョンによっては表示レイアウトが多少異なる場合があります。
Quant Analyzer(クオンツアナライザー)とは
Quant Analyzerは、MT4やMT5のバックテスト・フォワードテストのレポートを読み込んで分析する無料の外部ツールです。MT4のレポート機能だけでは見えない月別・時間帯別のパフォーマンスや、複数EAを合成した場合のポートフォリオ全体のリスクまで、多角的に分析できます。
海外ではEA開発者・トレーダーの間で定番の分析ツールとして知られており、単体のEAの弱点発見から複数EAの組み合わせ検討まで幅広く活用されています。
本記事では、Quant Analyzerの中でも「Analyze」タブの「Overview」画面に表示される各項目の意味を扱います。
現行の無料版QuantAnalyzerは、開発元StrategyQuantが提供するBuild 4.9.4(2026年3月16日リリース)が最新版です。無料版でも基本的な分析機能は利用でき、より高度な分析やカスタマイズ機能が必要な場合は有料のプロ版が用意されています。
クオンツアナライザーの使い方(バックテスト結果の読み込み方)
Overview画面の分析結果を確認するには、まずMT4でバックテストを実行し、その結果をQuant Analyzerに読み込ませる必要があります。手順は次の2ステップです。
- MT4でバックテスト結果を保存する:MT4でバックテストを行ったら、「レポート」タブをクリックし、レポート画面上で右クリックして「レポートの保存」を選択します。これでバックテスト結果がhtm形式のファイルとして出力されます。
- Quant AnalyzerでLoad Reportから読み込む:Quant Analyzerの画面で「Load Report」をクリックし、先ほど出力したファイルを選択して読み込みます。読み込みが完了すると、「Analyze」タブの「Overview」に、これから解説する各指標が一覧で表示されます。
TOTAL PROFIT
TOTAL PROFITは、バックテスト終了時点で得られた純利益の合計を示します。
つまり、すべての取引が完了したあとに残った金額がプラスであれば利益、マイナスであれば損失です。
この数値には、すべての勝ちトレードと負けトレードの結果が含まれます。
バックテストの全期間を通してどれだけ資産が増減したのかを一目で確認できます。
OF TRADES
OF TRADESは、バックテスト期間中に発生したすべてのトレードの合計数を示しています。
ポジションのエントリーからエグジットまでを1トレードとしてカウントするため、たとえば1日に複数回売買していれば、その分だけ数は増えます。
この数値を見ることで、そのEAがどれだけ頻繁に売買しているか、つまりトレード頻度の傾向がわかります。
スキャルピングのような短期売買ではこの数が非常に多くなるのが一般的です。
SHARPE RATIO(シャープレシオ)
シャープレシオは、投資の効率性を測るための代表的な指標です。以下の式で表されます。
(投資リターン − 無リスク利子率) ÷ 投資商品の年率リスク
つまり、「どれだけのリスクを取って、どれだけの利益を得られたか」を数値化したものです。
シャープレシオが意味すること
この値が大きいほど、同じリスクでもより高い利益を出している=効率の良い投資と判断されます。
具体的には、値が高いと資産曲線が滑らかになり、ドローダウンも抑えられた安定した成績が期待できます。
一方で、値が低い場合は、利益が出ていてもその裏でリスクを取りすぎている可能性があり、運用の安定性には疑問が残ります。
PROFIT FACTOR(プロフィットファクター)
プロフィットファクターとは、トレーディングシステム全体の「利益効率」を示す指標です。
計算式は以下の通りです。
総利益 ÷ 総損失
この数値が大きいほど、「損失に対してどれだけ利益を上げられているか」が高いと評価できます。
たとえば、プロフィットファクターが1.1の場合、以下のように理解できます。
具体例:プロフィットファクター1.1の場合
- 総利益:100万円
- 総損失:90万9,000円
- プロフィットファクター:1.1
このように、得られた100万円の利益に対して、将来的に90万円ほどの損失が出る可能性がある、というリスクを把握できます。
RETURN/DD RATIO
RETURN/DD RATIOは、純利益とドローダウンの比率です。
システムの「リスク対利益の効率性」を測るためのものであり、次のように評価できます。
RETURN/DD RATIOの値が高いということは、次のことを意味します。
- 少ないリスク(ドローダウン)で大きな利益を得ている
- システムの安定性が高く、安心して運用しやすい
- 資金効率が良い
たとえば、同じ100万円の利益を出していても、ドローダウンが10万円のシステムと50万円のシステムでは、前者の方が明らかに優れています。
これが数字で確認できるのがこの指標です。
値が低いとどうなのか?
一方で、RETURN/DD RATIOが低い場合は以下のような傾向があります。
- ドローダウンの割に利益が少ない
- リスクの割にリターンが合っていない
- 精神的にも資金的にも運用が難しくなる可能性がある
このようなシステムは、一見利益が出ているように見えても、損失リスクの高さから継続運用には向かないケースが多いです。
WINNING PERCENTAGE
勝率のことです。全トレードのうち利益が出たトレードの割合を示します。
計算式は以下のとおりです。
勝率(%) = 勝ちトレード数 ÷ 全トレード数 × 100
たとえば、100回トレードをして60回勝った場合、勝率は60%になります。
DRAWDOWN
ドローダウンのことです。
%DRAWDOWN
ドローダウンの割合
DAILY AVG PROFIT
DAILY AVG PROFITは、トレード活動を行った日ごとの平均利益を表しています。
これは「1日あたりどれくらいの利益が出たのか」を示す重要な指標で、スキャルピングのように日単位で頻繁に取引する手法において特に参考になります。
MONTHLY AVG PROFIT
MONTHLY AVG PROFITは、バックテスト期間中の1か月あたりの平均利益を示します。
トレード頻度や期間の長さに関係なく、月単位でのパフォーマンスをざっくり把握するのに便利な指標です。
AVERAGE TRADE
AVERAGE TRADEは、1回のトレードあたりの平均損益を示します。
この数値を見ることで、トレード1回ごとにどれだけの利益または損失が出ているのかを把握できます。
ANNUAL %/MAX DD %
1年のドローダウンとマックスドローダウンの割合
R EXPECTANCY(R期待値)
R期待値、タープの期待値
R EXPECTANCY(R期待値)は、「1回のトレードで、どれだけリスクに対してリターンを得られているか」を数値化した指標です。
「(平均利益 × 平均勝率 + 平均損失 × 平均負率) / 平均損失の絶対値」
で計算されます。
• R期待値が大きい場合
1回のトレードにおけるリスク(損失)に対して、得られる利益が大きいということです。
つまり、「リスク効率の良い戦略」と判断できます。
• R期待値が小さい場合
リスクに対するリターンが低く、トレード戦略としての効率が悪いと判断できます。
継続的な運用には慎重になるべきです。
この指標は単に勝率が高いだけでは意味を持ちません。
例えば、勝率が高くても1回の損失が極端に大きければ、R期待値は低くなります。
したがって、バックテストやフォワードテストにおいてこの数値が高い戦略は、リスクに見合うリターンを得やすいと考えられます。
戦略選定時の重要な比較ポイントとして活用しましょう。
R EXPECTANCY SCORE(R期待値スコア)
R EXPECTANCY SCORE(R期待値スコア)は、トレード戦略の有効性をより実践的な視点で評価するための指標です。計算式は以下の通りです。
「R-Expectancy * 年間平均トレード数」
で計算されます。
この指標では、単に1回あたりの平均リターン(R-Expectancy)を見るだけでなく、それが年間で何回繰り返されるかまでを含めて評価します。
たとえば、R-Expectancyが「0.5」で、年間平均トレード数が「100回」の場合、
• 0.5 × 100 = 50
つまり、理論上その戦略は年間で「50R」の利益が見込めるということになります。
この指標が意味すること
- トレードの質 × トレードの量が合わさった成果
- 同じR-Expectancyでも、取引回数が多ければパフォーマンスは上がる
- 一方で、R-Expectancyが高くても取引回数が極端に少ないとスコアは伸びない
STR QUALITY NUMBER
STR QUALITY NUMBERは、トレーディングシステムの「品質」を評価するためのものです。SQN(System Quality Number)の一般的な解釈は以下の通りです
| スコア範囲 | 評価 |
|---|---|
| 1.6〜1.9 | 平均以下だが取引可能なレベル |
| 2.0〜2.4 | 平均的 |
| 2.5〜2.9 | 良好 |
| 3.0〜5.0 | 非常に優れている |
| 5.1〜6.9 | 極めて優秀 |
| 7.0以上 | 聖杯 |
SQN SCORE(SQNスコア)
SQNスコア(System Quality Number)は、トレーディングシステムの品質を数値で評価する指標です。
「期待値/標準偏差×√100」
で計算されるシステムの品質の評価値です。
これは、トレードの安定性と一貫性を評価するためのもので、単なる勝率や利益額よりもシステム全体のバランスを重視した指標です。
SQNスコアの評価基準
スコアの数値によって、システムの質を次のように判断できます。
| SQNスコア | 評価 |
|---|---|
| 1.6〜 | 平均以下 |
| 2.0〜 | 平均的 |
| 2.5〜 | 良い |
| 3.0〜 | 優秀 |
| 5.1〜 | 最高 |
| 7.0〜 | 聖杯レベル |
スコアが高ければ高いほど、システムは安定しており、再現性のある優秀なトレーディングが可能と判断されます。
Wins/Losses Ratio
Wins/Losses Ratio(勝敗比率)は、トレードの成果を評価する上で非常に重要な指標です。
この値は、勝ちトレードの数を負けトレードの数で割ったものを意味します。
たとえば、10回のトレード中に7回勝ち、3回負けた場合、この比率は 7 ÷ 3 = 2.33 となります。
どんな意味を持つのか
この数値が高いほど、トレードの成功率が高いことを示しています。
ただし、比率が高いからといって必ずしも利益が大きいとは限りません。
逆に、勝率が低くても1回あたりの利益が大きければトータルで勝つこともあります。
Payout Ratio(Avg Win/Loss)
平均利益と平均損失の割合
Payout Ratioは、「平均利益 ÷ 平均損失」で求められる指標です。
この比率は、1回あたりの取引でどれくらいの利益を得られているか、あるいは損失が大きいかを把握するための重要な目安になります。
Payout Ratioが高い場合
- 平均的に損失よりも利益が大きいことを意味します。
- 勝率がやや低くても、トータルでプラスになりやすいです。
- たとえば、勝率が50%でも、Payout Ratioが1.5であれば、十分な利益が期待できます。
Payout Ratioが低い場合
- 平均損失が平均利益より大きいということです。
- 勝率が高くなければ、収益はマイナスになりやすいです。
- たとえば、Payout Ratioが0.7だと、かなりの高勝率(70%以上)が求められます。
Average#of Bars in Trade
1トレードのローソク足の平均数
Average# of Bars in Tradeは、1回のトレードが何本のローソク足にまたがっていたかの平均を示す指標です。
これは「そのトレードがどれくらいの時間、ポジションを保有していたか」を表すものです。
どういう意味があるのか?
この数値が小さいほど、ポジションの保有時間が短い=スキャルピングやデイトレード向きの戦略という傾向があります。
逆に大きい場合は、数日間ポジションを持ち続けるスイングトレード寄りの戦略と判断できます。
たとえば以下のように解釈できます:
- 5本前後:数分〜十数分で決済されるスキャルピング戦略
- 20〜50本前後:数時間保有するデイトレード型
- 100本以上:数日間の保有を前提としたスイングトレード型
AHPR
AHPR(平均保有期間利回り)は、1回のトレードごとの平均リターンを示す指標です。
トレードの勝ち負けをすべて考慮し、保有期間ごとにどれくらいのパフォーマンスを出しているかを数値化します。
Z-Score(Zスコア)
Zスコアは、トレードの「勝ち負けの流れ」にパターンがあるかを測るための指標です。
もっと具体的に言えば、「勝ちと負けが交互にやってくるのか、それとも連続しやすいのか?」を数値化してくれます。
Zスコアの値が意味すること
• Zスコアが正の場合
勝ちと負けが交互に現れやすい傾向があります。
たとえば、1回勝てば次は負けやすく、負けたら次は勝ちやすい、というサイクルが起こっている可能性があります。
• Zスコアが負の場合
勝ちが続いた後にまた勝ちやすく、負けもまた連続しやすい傾向があります。
つまり、トレード結果が「連勝・連敗」の形になりやすいことを示しています。
実際の活用シーン
Zスコアの傾向を知ることで、次のような判断材料になります。
交互傾向(正のZスコア)
- 勝った後のトレードに慎重になる
- 負けた後にエントリーしやすい状況を探す
連続傾向(負のZスコア)
- 勝ちの流れに乗る意識を強める
- 負けが続く場合はポジションを抑える判断につなげる
このようにZスコアは、過去のトレードの流れから「今後の勝率変動に対するリスク感覚」を養うための手がかりになります。
数値の大小だけで全てを決めるものではありませんが、相場のクセを読む一つの指標として押さえておくと便利です。
Z-Probability
Z-Probabilityは、Zスコアがどの程度信頼できるかを示す統計的な指標です。
この値が高いほど、バックテストで得られたZスコアが偶然によるものである可能性が低く、統計的に意味のある結果であることを意味します。
Expectancy
Expectancy(期待値)は、1回のトレードあたりに平均してどれだけの利益が見込めるかを示す指標です。
これは、トレードの勝率やリスクリワード(損益比)を考慮した上で計算されます。
期待値がプラスであれば、長期的には利益が見込める戦略と判断できます。
計算式の基本
期待値は以下のように計算されます。
(勝率 × 平均利益)−(負け率 × 平均損失)
期待値の見方
- 0より大きい:トレードを続ければ続けるほど利益が積み上がる可能性がある
- 0に近い:利益と損失が拮抗しており、安定性に欠ける
- 0未満:そのまま続けると損失が蓄積していく可能性が高い
Deviation
Deviation(標準偏差)は、バックテスト結果におけるトレードのばらつきを示す指標です。
これは、トレードごとのリターンが平均からどれだけ離れているかを示すもので、ばらつきが大きいほど数値も大きくなります。
つまり、Deviationが大きい=トレード結果の変動が激しい=リスクが高いということになります。
具体的な見方
- 数値が小さい:勝ち負けのブレが少ない、安定したトレード
- 数値が大きい:勝ち負けの差が大きく、結果にムラがある
例えば、利益の出たトレードと損失の出たトレードの差が極端に大きいと、標準偏差も大きくなります。
逆に、トレードごとのリターンが一定の範囲に収まっていれば、Deviationは小さくなります。
Exposure
価格の変動リスク
Exposure(エクスポージャー)は、ポジションを保有している間に市場にさらされる金額、つまり価格変動リスクにどれだけ身を置いているかを表す指標です。
実際のリスクとの関係
Exposureが高ければ高いほど、市場の急変に巻き込まれる可能性も高まります。
ただし、Exposureが低すぎると、そもそもエントリーの機会が少ない可能性があるため、パフォーマンスにも影響します。
| スタイル | Exposureの傾向 | 解説 |
|---|---|---|
| スキャルピング | 低め | 短時間での売買が中心のため、市場にいる時間が少ない |
| デイトレード | 中程度 | 数時間の保有が多く、Exposureも中間的 |
| スイングトレード | 高め | 数日〜数週間ポジションを保有するため、Exposureは大きくなりやすい |
Stagnation in Days
Stagnation in Daysは、バックテストにおける資産曲線が直近の最高利益を更新できずに停滞していた期間を日数で示す指標です。
この「停滞」とは、以下の2つの状態を含みます:
- 資産曲線が横ばいで推移している(利益が出ていない)
- 一時的にドローダウンしている(損失が続いている)
つまり、「直近で記録した最大利益」に再び到達・更新するまでにかかった日数がStagnation in Daysに反映されます。
この数値が長ければ長いほど、戦略が安定して利益を伸ばせなかったことを示します。
そのため、トレーダーにとってはメンタル的な耐久力が試される期間とも言えるでしょう。
Stagnation in %
Stagnation in %(停滞期の割合)は、バックテスト期間中に資産が過去の最高値を更新できずに停滞していた時間の割合を示す指標です。
言い換えると、「トレードの成績がピークを更新できず、停滞していた期間がどれくらいあったか」をパーセンテージで表したものです。
この数値が高いということは、トレードが長期間うまくいっていなかった、もしくは資産が伸び悩んでいたことを意味します。
逆に低ければ、資産が比較的スムーズに増えていたことが分かります。
• Stagnation in %が高い場合
その手法では利益が出るまでに時間がかかる傾向があります。
実運用でメンタルが削られる要因になります。
• Stagnation in %が低い場合
定期的に資産のピークが更新されているため、成長のテンポが安定していると判断できます。
戦略を選ぶ際、単に「利益が出ているか」だけでなく「その利益がどのような時間軸で積み上がっているのか」を把握することはとても重要です。
Stagnation in %を見ることで、「利益を得るまでにどれだけ我慢が必要か」をあらかじめ知る手がかりになります。
#of Wins
#of Winsは、バックテスト期間中における勝ちトレードの総数を示す指標です。
勝ちトレードとは、エントリーから決済までの結果がプラスで終わった取引のことを指します。
#of Losses
#of Lossesは、「損失となったトレードの回数」を表します。of Lossesの数が多いからといって、必ずしも手法が悪いとは限りません。
#of Cancelled/Expired
#of Cancelled/Expiredは、設定したトレード条件に基づいて発注されたものの、実際に成立しなかったトレードの件数を示しています。
具体的には、以下の2つの状況が含まれます。
キャンセルされたトレード
エントリー条件が満たされたタイミングで発注が行われたものの、手動またはシステムによってキャンセルされた場合が該当します。
たとえば以下のようなケースです。
- 条件が変化してエントリーの根拠がなくなった
- 他のポジションとの兼ね合いで発注を見送った
- ストラテジーのルールでキャンセルが指定されている
期限切れ(Expired)になったトレード
発注後、一定時間内に約定しなかったために自動で無効になったトレードです。
これは特に指値注文や成行注文に制限がある戦略でよく見られます。例としては次のようなものがあります。
- 指値に届かずにエントリーできなかった
- 指定された有効時間内に条件が満たされなかった
Gross Profit
Gross Profitとは、バックテスト期間中に獲得したすべての利益の合計を指します。
これは、損失を含めない純粋な利益部分のみを合算したものです。
この数値は、戦略がどれほど稼ぐ「ポテンシャル」を持っているかを判断する材料です。
Gross Loss
Gross Lossは、バックテスト期間中に発生したすべての負けトレードの損失金額の合計を示します。
Average Win
Average Winは、勝ちトレード1回あたりの平均利益額を示しています。
この数値を見ることで、利益が出たトレードがどれくらいの金額を稼いでいるかを把握できます。
たとえば、トレード戦略が頻繁に勝っていても1回ごとの利益が小さい場合、全体としてのリターンは思ったほど大きくなりません。
一方で、勝率がそこまで高くなくても、Average Winが大きければ全体として利益が積み上がりやすくなります。
Average Loss
Average Lossは、負けトレード1回あたりの平均的な損失額を示す指標です。
バックテストの損益データの中から、損失を出したトレードのみを対象として、その損失額の平均を算出しています。
Largest Win
Largest Winは、バックテスト期間中に記録された1回のトレードにおける最大利益額を示しています。
この指標を確認することで、「最も利益が出たトレードがどれほどのインパクトを持っていたか」が把握できます。
Largest Loss
Largest Lossとは、バックテスト期間中に記録された1トレードあたりの最大損失額を示す指標です。
この数値は、損切りが適切に機能しているか、またはリスク管理が甘く大きなドローダウンを被っているかを判断する重要な材料です。
この数値が大きすぎる場合は要注意です。リスクリワード比や勝率が良くても、一度の負けで口座全体に大打撃を与えるリスクがあるため、実運用には向きません。
逆に、ある程度コントロールされた範囲の損失で収まっていれば、安定性のあるストラテジーといえます。
Max Consec Wins
Max Consec Winsは、連続して勝ったトレードの最大数を示します。
つまり、トレードの履歴の中で、勝ちトレードが何回連続したか、その最大記録です。
この数値が大きいほど、好調が続きやすい戦略であることを示します。ただし、連勝の後に反動で連敗が来るケースもあるため、Avg Consec Winsの値とあわせて確認することが重要です。
Max Consec Losses
Max Consec Lossesは、連続して負けたトレードの最大数を示します。
つまり、トレードの履歴の中で、負けトレードが何回連続したか、その最大記録です。
• メンタル負荷の予測
実運用中にこの最大連敗数が発生した場合、トレーダーがどれほどのストレスを感じる可能性があるかの目安になります。
例:Max Consec Losses が「8」なら、8回連続で損失を出す局面が起こり得ます。
• ドローダウンとの関係性
連敗数が多ければ、それに比例してドローダウン(資金の減少幅)も大きくなりやすいです。
この指標と合わせて「最大ドローダウン(Max Drawdown)」をチェックすることで、より現実的なリスク評価ができます。
Avg Consec Wins
Avg Consec Winsは、取引戦略におけるどれだけ連勝しやすいかを示す指標です。
たとえば、この値が「3.2」の場合、平均して約3回の連勝が続くという意味になります。
この数値が高いほど、連続して勝ちやすい傾向があるといえます。
ただし、ここで注意すべき点があります。連勝数が多いからといって必ずしも「良い戦略」とは限らないということです。
連勝が続いたあとに大きな損失が出るような戦略であれば、結果として資産が増えにくい可能性もあります。
Avg Consec Loss
Avg Consec Lossは、連続で損失が出たトレードの平均回数を示す指標です。
たとえば、損切りが3回続いた後に利益が出るというパターンが繰り返されていた場合、その「3回」という数字が記録されます。
そしてそのような連敗のパターン全体の平均がこの値として表示されます。
この指標は、精神的・資金的な耐久力を把握するためのヒントになります。
連敗が続くと、不安や焦りが生じやすくなります。ルールを守れなくなるトレーダーも多いため、自分がどの程度の連敗に耐えられるかを事前にシミュレーションしておくことが重要です。
Avg # of Bars in Wins
Avg # of Bars in Winsは、「勝ちトレードにかかった時間的な長さ」を示す指標です。
具体的には、勝ちトレード1回あたりに形成されたローソク足(Bars)の平均本数を表しています。
ローソク足1本=一定の時間を表す
例えば、5分足チャートを使用している場合、ローソク足1本は5分間です。
よって、この数値が「6」なら、勝ちトレードの平均所要時間は「30分」ということになります。
• 短い数値 → スピーディーな決済傾向
これは、スキャルピングや短期トレード戦略に多く見られる傾向です。すぐに利益確定していることを意味します。
• 長い数値 → ポジションを長く保有する傾向
トレンドフォロー型やスイングトレード戦略など、利益を伸ばす設計の戦略では、平均バー数が多くなる傾向があります。
Avg # of Bars in Losses
Avg # of Bars in Lossesは、「負けトレードにおけるローソク足の平均本数」を示す指標です。
具体的には、損失となったトレード1回あたりに形成されたローソク足(Bars)の平均本数で表しています。
たとえば、1時間足のチャートでこの数値が「4」であれば、負けたトレードは平均して4時間ポジションを保有していたという意味になります。
Trade analysisで時間帯・曜日別の傾向を見る
ここまで解説してきた指標は、すべて「Analyze」タブの「Overview」画面に表示されるものです。Quant Analyzerには、もう一つ「Trade analysis」というタブもあります。
Trade analysisでは、月別・曜日別・時間帯別のパフォーマンスをグラフで視覚的に確認できます。
代表的なグラフには以下のようなものがあります。
- P/L by hour:時間帯ごとの損益を確認できる
- P/L by weekday:曜日ごとの損益を確認できる
たとえば、特定の時間帯だけ極端に成績が悪いことがグラフで一目でわかれば、その時間帯を取引対象から外すといったフィルター条件の見直しに活用できます。
Overview画面の数値だけでは気づきにくい「苦手な時間帯・曜日」の傾向を把握するうえで、あわせて確認しておきたい機能です。
指標をどの順番で確認すべきか
ここまで解説してきた指標は数が多く、どこから見ればいいのか迷いやすいので、確認する順番の目安を整理しておきます。
- ①利益効率とリスクの大枠を見る:PROFIT FACTORとRETURN/DD RATIOで、そもそも利益に対してリスクが見合っているかを確認する
- ②安定性・再現性を見る:SQNスコアとR EXPECTANCY SCOREで、その利益が偶然の結果ではなく再現性のあるものかを確認する
- ③メンタル耐性を見積もる:Max Consec LossesとStagnation in Daysで、実運用中にどれだけの連敗・停滞に耐える必要があるかを確認する
①だけを見て「利益が出ているから良いEA」と判断すると、②や③で運用に耐えられない弱点を見落としてしまうことがあります。3つの段階を順に確認する習慣をつけましょう。数値の良し悪しだけでなく、「自分がそのEAを実運用で使い続けられるか」まで判断しやすくなります。
よくある質問
Q1. Quant Analyzer(クオンツアナライザー)とは何ですか?
A1. MT4・MT5のバックテストやフォワードテストのレポートを読み込み、月別・時間帯別のパフォーマンスや複数EA合成時のリスクまで分析できる無料の外部ツールです。開発元はStrategyQuantで、海外のEA開発者・トレーダーの間で定番として使われています。
Q2. Quant Analyzerの使い方は?
A2. まずMT4でバックテストを実行し、「レポート」タブから「レポートの保存」でhtm形式のファイルを出力します。次にQuant Analyzerの「Load Report」でそのファイルを読み込むと、「Analyze」タブの「Overview」に分析結果が一覧表示されます。
Q3. TOTAL PROFITとは何を意味しますか?
A3. バックテスト終了時点で得られた純利益の合計です。すべての勝ちトレードと負けトレードの結果を含み、プラスなら利益、マイナスなら損失を意味します。
Q4. プロフィットファクター(PROFIT FACTOR)の目安はどのくらいですか?
A4. 総利益を総損失で割った値で、1を超えれば利益が出ていることを意味します。数値が大きいほど損失に対する利益効率が高いと評価できます。
Q5. SQNスコア(SQN SCORE)の評価基準は?
A5. 1.6〜1.9は平均以下、2.0〜2.4は平均的、2.5〜2.9は良好、3.0〜5.0は非常に優れている、5.1〜6.9は極めて優秀、7.0以上は聖杯レベルと評価されます。
Q6. Quant Analyzerは無料で使えますか?
A6. はい、無料版で基本的な分析機能を利用できます。より高度な分析やカスタマイズ機能が必要な場合は、有料のプロ版が用意されています。
Q7. Trade analysisタブでは何がわかりますか?
A7. 月別・曜日別・時間帯別のパフォーマンスをグラフで確認できます。P/L by hourで時間帯ごとの損益、P/L by weekdayで曜日ごとの損益を視覚的に把握できます。
まとめ
Quant AnalyzerのOverview画面に並ぶ各指標は、どれか一つだけを見て判断するものではありません。
PROFIT FACTORやRETURN/DD RATIOは「利益効率」「リスク対効果」を示す指標です。SQNスコアは「安定性」を示す指標です。この2種類を組み合わせて見ることで、そのEA・手法の本当の強みとリスクが見えてきます。
本記事で解説した各項目の意味を手がかりに、ぜひ自分のEAや手法のバックテスト結果を見直してみてください。







