EAのバックテストを見るとドローダウンと呼ばれる項目があることに気付きます。このドローダウンとはどのようなものか。
ドローダウンはどのくらいがいいのか、ドローダウンの考え方について説明していきます。
ドローダウン(絶対ドローダウン)とは?
ドローダウン(drawdown、絶対ドローダウン)とは初期資金からどれだけ金額が減ったかを表す数値です。
例えば、口座の100万円が、10万円減ったらドローダウンは10万円(10%)になります。
最大ドローダウンとは?
最大ドローダウンとは資金が最も大きく下落した時の損失額を表しています。
相対ドローダウンとは?
相対ドローダウンとは資金が最も大きく下落した時の割合を表しています。
具体例で見る
例として以下のようなパターンの取引を考えてみます。
パターンA:1→5→10→5→15
パターンB:1→5→15→10→15
パターンAの最大ドローダウンは10-5=5、相対ドローダウンは5÷10=50%
パターンBの最大ドローダウンは15-10=5、相対ドローダウンは5÷15=33%
AとBのパターンはどちらも最大ドローダウンが5ですが、相対ドローダウンは異なっています。これはパターンBの方が残高が多い状態でドローダウンしたからになります。つまり、相対ドローダウンは残高(証拠金)が多いほど小さくなります。
バックテストのドローダウンを見ても意味がない?
ここまではドローダウンについての説明をしてきましたが、EAのバックテストから得られるドローダウン(%)を見ても意味がありません。なぜならドローダウンは初期証拠金と運用ロットによって変えることができるからです。
簡単に説明すると、初期資金を多く、EAのロット数を小さくすることでドローダウンを小さくすることができます。
ドローダウンは口座資金に対しての負け金額のため、このような現象が起こります。
よって、いくらでもドローダウンを小さく見せることができるので、ドローダウンを見ても意味がないです。もし参考にしたい場合はバックテストの下記赤枠の初期証拠金と数量というところを一緒に確認しましょう。
下のバックテストは初期証拠金を大きくし、数量を小さくすることでドローダウンを0%にできている例です。

この初期証拠金と数量を実際に自分が運用する想定で適切な値にすることで、初めてドローダウンを見る意味が生まれます。もし、ドローダウンが~%未満などと安直に宣伝しているEAがある場合はほぼ過大広告といってもいいでしょう。
また、ドローダウンは~%以内のEAが優秀とかいう話もこういった事実を無視したあてにならない指標であることがおわかりいただけたと思います。
ドローダウンは本当に意味がないか?
ここまでドローダウンは意味がないと話しましたが、ドローダウンを間違って認識していると意味がありませんが、正しい方法で認識すればとても意味のある指標になります。
まずFXで欠かすことのできない資金管理がありますが、ドローダウンを確認することは資金管理において重要です。
最大ドローダウンがわかっていないとEAがどのくらいの損失を出すのかわからないまま運用することになります。これはとても危険な運用になります。
初期証拠金と数量を自分の実際に自分が運用する数量に設定してドローダウンを確認することをオススメします。
将来、最大ドローダウンより大きいドローダウンはやってこない?
よくある勘違いとして、最大ドローダウンを超えるドローダウンはリアルの運用ではやってこないと思われることがあります。
これは間違いであくまで、最大ドローダウンは過去のチャートで運用した結果なので、未来のチャートでドローダウンがどうなるかはわからないのです。最大ドローダウンはあくまでも目安になります。
潜在ドローダウンとは?
上で説明したドローダウン以外にも番外編として、潜在ドローダウンという考え方があります。潜在ドローダウンとは、最大ポジション数と最大ストップロスから起こりうるドローダウンを指しています。
例えば、最大ポジション数3で最大ストップロスが50pipsのEAがあった場合、3つポジションを持って、全部が最大ストップロスにかかったら損失は150pipsになりますね。これが潜在ドローダウンです。
上の例だと150pipsの損失を出す可能性があるので0.1lot運用だと潜在ドローダウンは15000円になります。この損失に自分の精神が耐えられるかどうかを稼働前に必ず確認するようにしましょう。潜在ドローダウンを知らずにEAの運用を行うと痛い目に合います。
EAが持てるポジション数が多いほどこの潜在ドローダウンが大きくなる傾向にあるので、
潜在ドローダウンを抑えたい場合はなるべく最大ポジション数1のEAを選択するようにしましょう
まとめ
EAのバックテストのドローダウンについて、適切な初期証拠金、ロットで見ないと意味がないので、正しい初期証拠金とロットで見ましょうというお話でした。
なのでドローダウンが少ないことを宣伝文句にしているEAは過大広告であることに気を付けましょう。ドローダウンに騙されずにEA運用をしていきましょう。