EAのポートフォリオを組む際に似ているEAを稼働させるとリスクが高くなり、ポートフォリオの意味がなくなってしまいます。こういったことを避けるためにEAは時間、通貨ペア、ロジック、作成者などを分散してなるべくエントリーが被らないようにポートフォリオを組んでいきたいところです。
ポートフォリオとは
ポートフォリオ(英語:portfolio)とは、安全資産と危険資産の最適保有率のことである。
とウィキペディアに記載があります。簡単に言うと、自分の保有しているすべての金融商品の組み合わせのことを指しています。
下の図がポートフォリオの例です。
EAで言うと、自分が稼働しているEAの組み合わせのことになりますね。
ポートフォリオを組む目的
ポートフォリオを組む最大の目的は、リスク分散にあります。
例えば、1つのEAのみを稼働させている場合、そのEAが不調になると資産が大きく減少してしまう可能性があります。しかし、複数のEAを組み合わせて運用すれば、状況は変わります。
仮にあるEAが不調で損失を出していても、他のEAが好調で利益を上げていれば、全体としての資産減少を抑えられる可能性が高まります。このように、異なるEA同士がそれぞれの得意・不得意な相場を補完し合うことで、運用リスクを軽減することができるのです。
ポートフォリオを活用することで、安定した資産運用が実現しやすくなります。
相関性とは
相関性とは、2つの事象がどの程度関連しているかを示す概念です。例えば、一方の値が1増えると他方の値も1増えるような関係がある場合、それを「相関関係がある」と表現します。
この相関関係は、相関係数という数値で表されます。相関係数は -1 から 1 の間の値をとり、それぞれ以下の意味を持ちます:
- 相関係数 1:非常に強い正の相関がある(片方が増えるともう一方も比例して増える)。
- 相関係数 0:相関関係がまったくない(片方の変化がもう一方に影響を与えない)。
- 相関係数 -1:非常に強い負の相関がある(片方が増えるともう一方は比例して減る)。
相関性を理解することで、2つの要素がどのように関連しているか把握することができます。
EAで言う相関関係とは?
EAにおける相関関係とは、複数のEAの動きや成果がどの程度関連しているかを表すものです。
例えば、AとBという2つのEAがある場合:
利益や損失の連動性
AのEAがある日に利益を上げると、BのEAも同じ日に利益を上げやすい。また、AのEAが損失を出すと、BのEAも損失を出しやすい。このような状態は、AとBのEAに強い相関関係があるといえます。
ポジションの連動性
AのEAがポジションを持つタイミングで、BのEAも同様にポジションを持ちやすい場合も、相関関係が強い状態と表現します。
このような相関関係が強いEA同士をポートフォリオに組み込むと、同じタイミングで利益を上げる可能性が高まりますが、同時に同じタイミングで損失を出すリスクもあります。そのため、相関関係を意識してEAを選ぶことは、リスク管理の観点で非常に重要です。
QuantAnalyzerでEAの相関性を調べる
QuantAnalyzerというソフトを使えばEAがどのくらい相関性があるのかを調べることができます。
QuantAnalyzerのインストール方法はこちらを参照まずは相関性を調べたい複数EAのバックテスト結果をQuantAnalyzerに取り込みます。すると下に用に取り込んだ結果が表示されると思います。まずは相関性を調べたい2つのEAを選択してcreate portfolioボタンを押しましょう。

すると下のようにポートフォリオ結果が作成されます。
・次に作成されたポートフォリオをダブルクリックします。
・portfolio correlationタブを選択します。
・correlation byで相関関係を調べる期間を指定できます。今回はデフォルトの日単位にします。
・correlation ofで何についての相関関係を調べるかを選択します。今回はデフォルトの profit/loss にします。
・computeボタンをクリックします。

以上でEAの相関関係を出力することができます。今回出力した相関係数は緑の背景の部分の数字になります。

QuantAnalyzerでは相関係数が0.4以下の場合に相関が低いと表現されています。ただし、体感だと0.4は相関性が高いように感じることが多いのでもう少し低い値したほうがいいでしょう。
相関の種類
相関関係を調べる際には、さまざまなアプローチがあります。基本的には、日単位の損益の相関関係を確認するのが一般的ですが、より正確に分析したい場合は、複数の相関項目を調べる必要があります。以下に、相関性を調べる際に確認できる主な項目を紹介します。
相関性を調べる主な項目
profit/loss(損益)
各EAの損益を比較します。最も基本的な指標です。
number of closepositions
クローズされたポジション数を比較します。ロングとショートが区別される点が特徴です。
number of closetrade
クローズされたトレード数を比較しますが、ロングとショートの区別はありません。
number of openpositions
オープン中のポジション数を比較します。ロングとショートが区別されます。
number of opentrades
オープン中のトレード数を比較しますが、ロングとショートの区別はありません。
注意点
- Number of Trades(Close/Open) はロングとショートを区別しないため、具体的な用途が難しい場合があります。
- しっかりと相関性を確認したい場合は、最低でも3つを全期間で調べることが推奨されます:Profit/Loss、Number of Close Positions、Number of Open Positions
なぜ複数の相関性を確認する必要があるのか?
複数の指標で相関を調べる理由は、単一の指標では隠れたリスクを見落とす可能性があるからです。以下は、その具体例です。
- 日単位で相関性が低い場合でも、月単位で見ると相関性が高い可能性があります。この場合、短期的な分析だけでは不十分です。
- 利益の相関性が低くても、Open Tradesの相関性が高い場合、同じ方向のポジションを同時に多く保有している可能性があり、リスクが高い状態になることがあります。
相関性の詳細表示
分析ツールによっては、相関性の数値をクリックすることで、詳細な分析結果を確認できる場合があります。これを活用することで、より深い洞察が得られます。


上で実際に表示した内容は 損益の相関性です。日単位で2つのEAのそれぞれの損益を見ることができます。
まとめ
今回は、EAにおける相関関係の考え方とその確認方法について紹介しました。現在稼働しているEA同士の相関関係を一度調べ、相関が強くなりすぎていないかを確認してみましょう。
ただし、相関性が低い場合でも、トレードタイミングが完全に被らないわけではありません。そのため、相関性を調べた結果を踏まえ、どのような戦略でポートフォリオを構築するかが非常に重要です。
相関性を適切に管理することで、リスクを抑えつつ効果的な運用が可能になります。EAの特徴や相関を正しく理解して、より安定した資産運用を目指しましょう。