QuantAnalyzerを使えば、複数EAの相関係数を数値で確認し「エントリーが被っているEA」を見分けられます。(1)QuantAnalyzerで相関係数を調べる具体的な操作手順、(2)相関を下げるためのEAの組み合わせ方(ロジック・通貨ペア・時間軸の3つの分散軸)、(3)組み合わせすぎで逆効果になるケースと適正なEA本数の目安、の3点を解説します。相関性の高いEA同士を無自覚に組み合わせて「見せかけの分散」に陥っている方は、ぜひ自分のポートフォリオを見直してみてください。
この記事でわかること
- QuantAnalyzerで相関係数を調べる操作手順
- 相関を下げるEAの組み合わせ方(ロジック・通貨ペア・時間軸)
- 組み合わせすぎで逆効果になるケースと適正なEA本数の目安
ポートフォリオの考え方そのもの(組む目的・EAの選び方・資金配分)は、別の記事に計算例つきでまとめています。この記事では、そのうち「EA同士の相関」を数値で確かめる部分に絞って解説します。
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相関性とは
相関性とは、2つの事象がどの程度関連しているかを示す概念です。例えば、一方の値が増えると他方の値も増えやすい(または減りやすい)関係がある場合、それを「相関関係がある」と表現します。増え方の大きさが同じである必要はありません。
この相関関係は、相関係数という数値で表されます。相関係数は -1 から 1 の間の値をとり、それぞれ以下の意味を持ちます:
- 相関係数 1:完全な正の相関がある(データが右上がりの一直線に並ぶ)。
- 相関係数 0:直線的な相関関係がない(片方が増えてももう一方が増えるとも減るともいえない。ただし無関係とは限らない)。
- 相関係数 -1:完全な負の相関がある(データが右下がりの一直線に並ぶ)。
相関性を理解することで、2つの要素がどのように関連しているか把握できます。
相関係数の見方(−1〜1)
相関係数 1
- 完全な正の相関
- 右上がりの一直線に並ぶ
相関係数 0
- 直線的な相関関係がない
- 無関係とまでは言えない
相関係数 −1
- 完全な負の相関
- 右下がりの一直線に並ぶ
EAで言う相関関係とは?
EAにおける相関関係とは、複数のEAの動きや成果がどの程度関連しているかを表すものです。
例えば、AとBという2つのEAがある場合:
利益や損失の連動性
AのEAがある日に利益を上げると、BのEAも同じ日に利益を上げやすい。また、AのEAが損失を出すと、BのEAも損失を出しやすい。このような状態は、AとBのEAに強い相関関係があるといえます。
ポジションの連動性
AのEAがポジションを持つタイミングで、BのEAも同様にポジションを持ちやすい場合も、相関関係が強い状態と表現します。
このような相関関係が強いEA同士をポートフォリオに組み込むと、同じタイミングで利益を上げる可能性が高まりますが、同時に同じタイミングで損失を出すリスクもあります。そのため、相関関係を意識してEAを選ぶことは、リスク管理の観点で重要です。
相関の高低で合計の損益はどう変わる?
相関が高い:同じ日に勝ち負けが重なり、合計が大きく振れる
相関が低い:勝ち負けの日がずれて、合計の振れが小さくなる
※緑=利益、赤=損失、灰=±0。日ごとの損益は説明用の架空の値です。相関係数は、相関が高い組み合わせが約0.91、相関が低い組み合わせが約−0.85(負の相関の例)です。
QuantAnalyzerでEAの相関性はどう調べる?
QuantAnalyzer(クオンツアナライザー)はStrategyQuant社の分析ソフトです。無料版でも、複数EAを合成するPortfolio Masterを4戦略まで使えるので、2つのEAの相関を調べるだけなら無料版で足ります。
まだ導入していない場合は、無料版のダウンロードから初回起動、MT4レポートの読み込みまでを次の記事で解説しています。
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まずは相関性を調べたい複数EAのバックテスト結果をQuantAnalyzerに取り込みます。すると下のように取り込んだ結果が表示されます。まずは相関性を調べたい2つのEAを選択してcreate portfolioボタンを押しましょう。

すると下のようにポートフォリオ結果が作成されます。
- 次に作成されたポートフォリオをダブルクリックします。
- portfolio correlationタブを選択します。
- correlation byで相関関係を調べる期間を指定できます。今回はデフォルトの日単位にします。
- correlation ofで何についての相関関係を調べるかを選択します。今回はデフォルトのprofit/lossにします。
- computeボタンをクリックします。

以上でEAの相関関係を出力できます。今回出力した相関係数は緑の背景の部分の数字になります。

QuantAnalyzerの公式ドキュメントには、相関係数がいくつ以下なら「相関が低い」という数値の基準は示されていません(参考: QuantAnalyzer公式ドキュメント https://strategyquant.com/doc/quantanalyzer/portfolio-correlation-explained/)。0.4以下を目安にする考え方もありますが、体感だと0.4は相関性が高いように感じることが多いので、もう少し低い値にしたほうがいいでしょう。
相関の種類
相関関係を調べる際には、日単位の損益以外にも複数の指標でアプローチする方法があります。基本的には、日単位の損益の相関関係を確認するのが一般的ですが、より正確に分析したい場合は、複数の相関項目を調べる必要があります。以下に、相関性を調べる際に確認できる主な項目を紹介します。
相関性を調べる主な項目
相関性を調べる際に確認できる主な項目は以下の5つです。
- profit/loss(損益):各EAの損益を比較します。最も基本的な指標です。
- Number of closed positions:クローズされたポジション数を比較します。ロングとショートが区別される点が特徴です。
- Number of closed trades:クローズされたトレード数を比較しますが、ロングとショートの区別はありません。
- Number of open positions:オープン中のポジション数を比較します。ロングとショートが区別されます。
- Number of open trades:オープン中のトレード数を比較しますが、ロングとショートの区別はありません。
注意点
- Number of Trades(Close/Open) はロングとショートを区別しないため、具体的な用途が難しい場合があります。
- しっかりと相関性を確認するには、最低でも3つの指標(Profit/Loss、Number of closed positions、Number of open positions)を全期間で調べましょう。
なぜ複数の相関性を確認する必要があるのか?
複数の指標で相関を調べる理由は、単一の指標では隠れたリスクを見落とすことがあるためです。以下は、その具体例です。
- 日単位で相関性が低い場合でも、月単位で見ると相関性が高い可能性があります。この場合、短期的な分析だけでは不十分です。
- 利益の相関性が低くても、Number of open positionsの相関性が高い場合、同じ方向のポジションを同時に多く保有している可能性があり、リスクが高い状態になることがあります。
QuantAnalyzerでは、相関性の数値をクリックすると詳細な分析結果を確認できます。これを活用することで、より深い洞察が得られます。


上で実際に表示した内容は 損益の相関性です。日単位で2つのEAのそれぞれの損益を見ることができます。
EAの相関を下げるにはどう組み合わせればいい?
相関係数の意味と調べ方がわかったところで、実際に相関を下げるにはどうEAを組み合わせればよいのでしょうか。ここでは3つの分散軸を紹介します。どれか1つだけでなく、複数の軸を組み合わせるほど相関は下がりやすくなります。
EAの相関を下げる3つの分散軸
ロジックを分散
- トレンドフォロー・逆張り・ブレイクアウトなど売買ロジックの異なるEAを組み合わせる
通貨ペアを分散
- 値動きの要因が異なる通貨ペアを選ぶ(ドル円とユーロポンドなど)
時間軸・取引スタイルを分散
- スキャルピング・デイトレード・スイングなど保有時間の異なるEAを組み合わせる
ロジックを分散する
トレンドフォロー系、カウンター(逆張り)系、ブレイクアウト系など、売買ロジックの異なるEAを組み合わせると、同じ相場局面で同時に損益が発生しにくくなります。例えばトレンドフォロー系のEAとカウンター系のEAは、相場がトレンド相場の時とレンジ相場の時とで得意・不得意が逆になるため、片方が不調でももう片方でカバーできる可能性が高まります。
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通貨ペアを分散する
同じロジックのEAでも、稼働させる通貨ペアを分散させることで相関を下げられます。値動きの独立性が高い通貨ペア(例:ドル円とユーロポンドのように共通の通貨を含まない組み合わせ)を選ぶと効果的です。ドル円とユーロドルはどちらも米ドルを含むため、日々の値動きの相関係数は約−0.5と逆向きに連動しやすく、独立とはいえません(2021〜2026年の日次データで計算)。反対に、ユーロドルとポンドドルのような「ドルストレート」同士の通貨ペアは値動きが似やすく、相関が高くなりやすい点に注意しましょう。
時間軸・取引スタイルを分散する
スキャルピング、デイトレード、スイングトレードのように保有時間の異なるEAを組み合わせると、エントリー・エグジットのタイミングが被りにくくなります。短期売買のEAと長期保有のEAでは、そもそもポジションを持つ時間軸自体が異なるため、同時に同じ方向へポジションが偏るリスクを抑えられます。
ロジック・通貨ペア・時間軸のいずれかを分散させたうえで、QuantAnalyzerのportfolio correlationで実際の相関係数を確認し、想定どおり相関が下がっているかを検証するのが確実な進め方です。
ポートフォリオに組み込むEAの本数の目安
相関を下げる組み合わせ方がわかっても、「結局何個のEAを組み合わせればいいのか」で悩む方は多いはずです。目安として、資金規模が小さいうちは2〜3種類から始め、資金や運用経験が増えるにつれて最大7〜8種類程度に留めましょう。
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組み合わせすぎると起こるデメリット
- 相関の低いEAを無理に増やし続けても、1つ1つのEAの優位性が薄まり総合的なパフォーマンスが低下しやすくなる
- 利益と損失が相殺され合う場面が増え、資産が伸び悩む「凪」の状態になりやすい
- EAの数が増えるほど個別の稼働状況・パラメータ管理が煩雑になり、異常が起きた際の検知や対応が遅れるリスクが増す
相関が低いEAを「数多く」組み合わせることが目的ではなく、少数精鋭で管理できる範囲に留めながら分散効果を得ることが、ポートフォリオ運用を長続きさせるコツです。
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よくある質問
Q1. QuantAnalyzerで相関係数を調べるにはどうすればいいですか?
A1. QuantAnalyzerに複数EAのバックテスト結果を取り込み、2つのEAを選択してcreate portfolioボタンでポートフォリオを作成後、portfolio correlationタブでcomputeボタンを押すと相関係数が表示されます。
Q2. 相関係数がどのくらいなら「相関が低い」と言えますか?
A2. QuantAnalyzerの公式ドキュメントに数値の基準はありません。0.4以下を目安にする考え方もありますが、体感では0.4でも相関性が高く感じられることが多いため、もう少し低い値を基準にするのがおすすめです。
Q3. EAの相関を下げるにはどう組み合わせればいいですか?
A3. ロジック(トレンドフォロー系・カウンター系など)、通貨ペア、時間軸・取引スタイルの3つの軸で分散させると相関を下げやすくなります。複数の軸を組み合わせるほど効果が高まります。
Q4. ポートフォリオに組み込むEAは何本くらいが適正ですか?
A4. 資金規模が小さいうちは2〜3種類程度から始め、資金や運用経験が増えるにつれて最大でも7〜8種類程度に留めるのが当ブログの目安です。
Q5. EAを組み合わせすぎるとどんなデメリットがありますか?
A5. 1つ1つのEAの優位性が薄まりパフォーマンスが低下しやすくなるほか、利益と損失が相殺され合う「凪」の状態になりやすく、個別の管理も煩雑になります。
Q6. 相関性以外に確認すべき項目はありますか?
A6. Profit/Loss(損益)だけでなく、Number of closed positions・Number of open positionsなど、最低3つの指標を全期間で調べると隠れたリスクを見落としにくくなります。
まとめ
今回は、EAにおける相関関係の考え方とその確認方法について紹介しました。現在稼働しているEA同士の相関関係を一度調べ、相関が強くなりすぎていないかを確認してみましょう。
ただし、相関性が低い場合でも、トレードタイミングが完全に被らないわけではありません。そのため、相関性を調べた結果を踏まえ、どのような戦略でポートフォリオを構築するかが重要です。
相関性を適切に管理することで、リスクを抑えつつ効果的な運用が可能になります。EAの特徴や相関を正しく理解して、より安定した資産運用を目指しましょう。
※本記事は情報提供を目的としたもので、特定のEA・金融商品の売買を推奨するものではありません。FX(外国為替証拠金取引)は元本が保証されておらず、レバレッジにより預けた証拠金を上回る損失が発生する可能性があります。記事内の成績・数値は過去の実績であり、将来の利益を保証するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。