EAの調子が悪いと思った時に、すぐに稼働を停止するか、様子を見るか、悩みはつきません。
もし、停止するルールを決めていないと、EAが調子悪くて停止・・・を繰り返すことにより、ほとんどのEAが停止するという状況になってしまいます。
稼働停止が早すぎると、本当はパフォーマンスが落ちていないEAにも関わらず、停止したことが原因で利益を取りこぼしたり、逆に稼働停止が遅すぎると、賞味期限が切れているEAの稼働を続けてしまい損失が増えてしまうこともあります。
そこで何かしら稼働を停止する基準、ルールが必要になります。
今回紹介する基準を参考にEA稼働停止ルールを決めてみましょう。これから紹介する停止方法は一例であり、正解はありませんのでご自身のトレードスタイルに合わせて選択して下さい。
月利益で判断
月単位の最大損失を更新した場合に停止するという考え方です。早めにEAのパフォーマンスを判断し停止する方法です。
月単位の利益を知るためにはQuant Analyzerにバックテストを取り込みます。すると、下のように月単位の損益を見ることができます。
ここで月単位の損失を確認し、過去の最大損失を更新したら稼働停止を判断することができます。上の画像の場合、-280.08というのが最大の損失になります。
しかし、過去最低損失は高い確率でやってくるという考えの元であれば、過去最低よりも1.5倍程度大きい損失としてもいいかもしれません。
各自の許容量に相談して決めてみましょう。
年利益で判断
年単位の最大ドローダウンを更新した場合に停止するという考え方です。こちらも月利益と考え方は同じで、こちらは年単位の利益で判断します。
月単位の利益と比べて年単位の利益の方がデータ量が多いので信頼性が増します。
Quant Analyzerにバックテストを取り込むことによって下のように年ごとの損益を見ることができます。
ここで年単位の損失を確認し、過去最高損失を更新したら稼働停止を判断することができます。
上の画像の場合、-103.88 というのが最大の損失になります。
最大ドローダウンで判断
最大ドローダウンを更新した時に稼働を停止するという考え方です。こちらの考え方はゆっくりとEAに向き合いながら判断することできます。
もし最大ドローダウンを元にEAのロットを決めている場合はこちらの考え方が合っているかと思います。最大ドローダウンはバックテスト結果から知ることができるのでそこで最大ドローダウンを確認しましょう。
平均獲得利益で判断
平均獲得利益を算出して、平均からずれてしまった時に稼働を停止するという考え方です。
方法はまずバックテストから1トレードあたりの平均獲得利益を求めます。
平均獲得利益をトレード回数分掛けた数値でグラフにプロットすると平均獲得損益を表す線になります。この線から大幅に離れている場合はバックテストの期待通りにEAが稼働できていないと判断することができます。
具体的に平均獲得利益を表したグラフが下のグラフで、青い線が資産曲線で赤い線が平均獲得利益になります。この赤い線から大幅に離れていくようだとEAが期待通りの取引を行えていないということになります。
標準偏差と正規分布で判断
先程は平均獲得利益をグラフに表すことでEAのパフォーマンスが平均値からどれくらい離れているかで判断することができました。
ではどれくらい平均獲得利益の線から離れたらヤバイのか?を判断するための基準が標準偏差と正規分布です。
おそらくこの基準が一番無難だと思われます。
平均から標準偏差の2σまでの範囲に収まる確率が95.45%という理論を使って、2σの線を割ったら稼働を停止するべきであると判断できます。
曲線の計算式は以下のようになります。
上のσの曲線 = トレード回数 × 平均損益 + √トレード回数 × 獲得利益の標準偏差 × = 標準偏差乗数(σ)
上のσの曲線 = トレード回数 × 平均損益 - √トレード回数 × 獲得利益の標準偏差 × = 標準偏差乗数(σ)
標準偏差を用いたグラフが下のグラフになります。
黄色と緑の線が2σの線で、この線より外側に行くとEAが期待通りの取引を行えていないということになります。
ここまで紹介した停止判断方法ですが、金額がベースの考え方になっています。金額だけで停止判断をすると、稼働の途中でロットを変更した場合等が考慮できていません。
そこで上記の停止判断はpipsベースがオススメです。
まとめ
EAの稼働停止が早すぎないよう、遅すぎないようになんらかの稼働停止基準を設けることが重要です。
稼働停止を判断する以下の考え方を紹介しました。
・月単位利益で判断する
・年単位利益で判断する
・ドローダウンで判断する
・標準偏差で判断する