ピラミッティング(ピラミッディング)は、含み益が出たポジションと同じ方向に追加注文を重ねていく増し玉の手法です。
EAにすれば追加も決済もルールどおりに実行できますが、自作EAで3種類を検証した結論は「ピラミッティング単体では稼げない」でした。
利益の源泉はトレンド判定の優位性で、ピラミッティングはその利益を増幅する仕組みにすぎません。
以下では、ナンピンとの違い、順・逆・イコールの増し玉ルール、トレンド幅と反転時の損益試算、検証結果とMQL4ソースを順に扱います。
ピラミッティング(ピラミッディング)とは?
ピラミッティングとは、トレンド方向にポジションを買い増し(売りなら売り増し)していく手法です。
利益が乗ったら追加でポジションを取り、さらに利益が乗ったらさらに追加する、という具合にどんどんポジションを積み上げます。ピラミッドを積み上げていくように見えるので「ピラミッディング」と呼ばれます。
ざっくり言うとナンピンの逆バージョンです。ナンピンが人を破滅させる手法なら、その逆は爆益になるのでは、と思い検証に至りました。
ナンピン・マーチンとの違い
どちらも同じ方向にポジションを追加する点は同じで、違いは「含み益で足すか、含み損で足すか」です。追加する局面が逆なので、平均取得単価の動き方と、負けるときの形も逆になります。
ピラミッティングとナンピンの違い
ピラミッティングのメリット・デメリット
ピラミッティングの種類と増し玉ルール
ピラミッティングのルールは「何ロット足すか」「いつ足すか」「いつ手じまうか」の3つで決まります。一般に種類として紹介されるのは1つめのロット配分の違いで、順・逆・イコールの3つに分かれます。
残りの2つには種類の名前がありませんが、EAにするときはこちらも決めておく必要があります。
ロット配分で分ける3種類
イコールポジションは「長方形ピラミッティング」と呼ばれることもあります。
追加するタイミング
追加のタイミングは、大きく次の3つです。
- 一定値幅ごと:20pipsごとのように機械的に追加する。EAにしやすく、本記事の自作EAもこの方式
- 高値・安値の更新:直近高値(売りなら安値)を抜けてトレンドの継続を確認してから追加する
- 押し目・戻り:移動平均線などまで戻ってから再び伸び始めたところで追加する。平均取得単価が上がりにくい
決済のルール
積み上げたポジションは一斉に逆行するため、追加より先に手じまいのルールを決めておきます。
- 合計損益がマイナスで全決済:平均取得単価まで戻ったら撤退する。本記事の自作EAのルール
- ストップの移動:追加するたびに、全ポジションのストップを建値や直前の追加価格まで引き上げる
- 利益確定:目標値幅(TP)に届いたとき、またはトレンド判定が崩れたときに全決済する
ピラミッティングの損益を試算する
トレンドが伸びたときにどれだけ増え、反転したときにどこで利益が消えるのかを、3種類で計算してみます。
前提はドル円150.00円で最初のポジションを持ち、20pips(0.20円)上がるごとに追加して計3回、総ロットは0.6ロット(6万通貨)にそろえます。
この建て方で、値動きごとの損益を計算した結果が次の表です。1ロット=10万通貨とし、損益は(決済価格-建値)×通貨量で、スプレッドとスワップは含めていません。
総ロットをそろえると、3回目まで追加し終えたあとは、どの価格でも順ピラミッティングが逆ピラミッティングより8,000円有利です。安い価格で多く持っているぶん平均取得単価が低く、トレンドが伸びても反転しても、この差は変わりません。
3回買い増したあと、伸びたときと反転したときの損益
※記事の試算と同じ条件(150.00円・150.20円・150.40円で計0.6ロット、1ロット=10万通貨、スプレッド・スワップ含まず)。途中の値動きは説明用の例です。
逆ピラミッティングが勝るのは、最初の損切りが2,000円と小さい点です。大きく勝てるのは、トレンドが長く続いて追加の回数が増え、総ロットそのものが膨らんだときに限られます。
一括で0.6ロット持てば、伸びたときの利益は60,000円で最大です。そのかわり最初の損切りも12,000円と最大になります。ピラミッティングは、最初のリスクを小さくする代わりに、伸びたときの利益の一部と反転への余裕を手放す取引です。
反転への余裕は想像より小さく、逆ピラミッティングは3回目の追加から約13pips戻るだけで利益が消えます。
ナンピンは平均取得単価が最後の買値に近づくため、少し戻れば建値に届きます。ピラミッティングでは同じ理屈が逆向きに働き、少し押されただけで建値まで戻ってしまいます。
ピラミッティングEAを自作して3種類を検証
自作EAでは、3種類とも資産が右肩下がりになりました。検証に使ったのは、パーフェクトオーダーでトレンドを判定し、一定値幅ごとに追加ポジションを取るピラミッティングEAです。
合計損益がマイナスになったら決済することで、ポジションを追加してもリスクを抑えられます。すると想定通り、逆コツドカ(小さく負けて大きく勝つ)のようなEAができました。

ここでわかった課題は、追加ポジションをなるべく安いところで持たないと、少しの逆行で利益が消えてしまうことです。トレンドが出ていたら、トレンドの押し目でポジションを追加していく必要があります。
順ピラミッティング

逆ピラミッティング

イコールポジション

資産曲線の縦軸を読むと、3種類とも右肩下がりです。順ピラミッティングは約50万円から4万円前後まで、イコールポジションはほぼ0円まで減りました。逆ピラミッティングは約50万円から49万4千円前後と減り方は小さいものの、やはりマイナスで終わっています。
どの曲線も、ときどき上に跳ねる大勝ちと、その間に続く長い下り坂でできています。小さく負けて大きく勝つ形にはなっていますが、大勝ちの分では負けを取り戻せていません。
なお、逆ピラミッティングだけテストのモデルが「全ティック」、ほかの2つは「コントロールポイント」で条件がそろっていないため、金額の大小は単純に比べられません。
どの種類でも「ベースとなるトレンド判定に優位性があるか」で結果が決まります。ピラミッティング自体は利益を増幅する仕組みであって、勝てるかどうかを決めるものではありません。
ピラミッティングEAのソースコード(MQL4)
参考ソースです。現在の保有ポジションからロット数を取得し、最後に約定したロット数(LongLastlot、ShortLastlot)に一定倍率を掛けて次のポジションを持つようにします。
// 買いポジションを保有している場合
for(int i = OrdersTotal() - 1; i >= 0; i--) {
if(OrderSelect(i, SELECT_BY_POS, MODE_TRADES)) {
// マジックナンバーが一致する場合
if(OrderMagicNumber() == MagicNo) {
// 通貨ペアが一致する場合
if(OrderSymbol() == Symbol()) {
// 買いの場合
if(OrderType() == OP_BUY) {
// 逆ピラミッティングの場合
if(gyaku){
if(LongLastlot < OrderLots()){
LongLastlot = OrderLots();//最後に新規約定したロングポジションlot数
}
}
// 順ピラミッティングの場合
else if(jyun){
if(LongLastlot > OrderLots()){
LongLastlot = OrderLots();//最後に新規約定したロングポジションlot数
}
}
if(OrderOpenPrice() >= HI || HI == 0){
HI = OrderOpenPrice();
}
}
// 売りの場合
else if(OrderType() == OP_SELL) {
// 逆ピラミッティングの場合
if(gyaku){
if(ShortLastlot < OrderLots()){
ShortLastlot = OrderLots();//最後に新規約定したショートポジションlot数
}
// 順ピラミッティングの場合
} else if(jyun) {
if(ShortLastlot > OrderLots()){
ShortLastlot = OrderLots();//最後に新規約定したショートポジションlot数
}
}
if(OrderOpenPrice() <= LOW || LOW == 0){
LOW = OrderOpenPrice();
}
}
}
}
}
}- gyaku が true なら逆ピラミッティング(最大ロットを取得して倍率を掛ける)
- jyun が true なら順ピラミッティング(最小ロットを取得して倍率を掛ける)
- HI は買いポジションのうち最も高い建値、LOW は売りポジションのうち最も低い建値。ピラミッティングでは最後に追加した価格にあたり、ここから一定値幅進んだら次を追加する
パーフェクトオーダーの判定部分は以下の記事で紹介しています。
販売中のピラミッティングEA(ゴゴジャン)
ピラミッティングのEAがないかゴゴジャンで探したところ、ありました。セットした瞬間から両建てでポジションを持ち、トレンドが出たら順次ピラミッティングしていくEAのようです。
おそらく半裁量での運用になると予想しています。トレンドを予測できる方でピラミッティングしたい方は使ってみてもよいでしょう。
レビューは1件だけで、評価の傾向を判断できる件数ではありません。フォワード成績も公開されていないため、購入前に商品ページの説明で、ロジックと推奨の運用方法を確認してください。
ピラミッティングEAのよくある質問
ピラミッティングとEAについて、よく検索されている疑問をまとめました。どれも本文の検証と試算をもとに答えています。前提条件や計算の中身は、各見出しの本文もあわせて確認してください。
Q1. ピラミッティングとピラミッディングは違う手法ですか?
A1. 同じ手法です。英語の pyramiding をカタカナにしたときの表記の違いで、原語の発音に近いのは「ピラミッディング」です。日本語では「増し玉」とも呼ばれます。
Q2. ピラミッティングとナンピンの違いは何ですか?
A2. 含み益が出たときに足すのがピラミッティング、含み損が出たときに足すのがナンピンです。平均取得単価はピラミッティングでは不利な方向へ、ナンピンでは有利な方向へ動くため、負け方も逆になります。
Q3. ピラミッティングEAは本当に稼げますか?
A3. ピラミッティング単体では稼げません。パーフェクトオーダーでトレンドを判定した自作EAの検証では、順・逆・イコールの3種類とも資産が右肩下がりでした。利益の源泉はトレンド判定の優位性で、ピラミッティングはそれを増幅する仕組みです。
Q4. 順ピラミッティングと逆ピラミッティングはどちらが有利ですか?
A4. 総ロットが同じなら、安い価格で多く持つ順ピラミッティングのほうが平均取得単価が低く、反転に強くなります。本記事の試算では、3回とも追加したあとは価格によらず順ピラミッティングが8,000円有利でした。逆ピラミッティングは最初の損切りが小さく、トレンドが長く続いて総ロットが膨らんだときに大きく勝てます。
Q5. ピラミッティングで相場が反転すると損失はどうなりますか?
A5. 平均取得単価まで戻ると利益が消え、さらに戻ると損失になります。本記事の試算では、最初の建値の150.00円まで戻ると順ピラミッティングで8,000円、逆ピラミッティングで16,000円の損失でした。合計損益がマイナスになったら全決済するなど、手じまいのルールを先に決めておきます。
Q6. ピラミッティングが向いているのはどんな相場ですか?
A6. 一方向に長く動くトレンド相場です。レンジ相場では追加する前に反転して小さな損切りが続き、資産がじりじり減りやすくなります。
まとめ
- ピラミッティングはトレンド方向に含み益が出たらポジションを追加する手法。ナンピンの逆で、最初のリスクを小さく始めてトレンドの利益を伸ばせる
- 順・逆・イコールの3種類があり、リスクの大きさが異なる
- 総ロットが同じなら、安い価格で多く持つ順ピラミッティングほど平均取得単価が低く、反転に強い。逆ピラミッティングは3回目の追加から約13pipsの押しで利益が消える試算になる
- 検証の結果、ベースとなる手法に優位性がある前提が必要。闇雲に使ってもリスクが増えるだけ
- 追加は押し目で行い、合計損益がマイナスになったら全決済するルールでリスクを限定する
- 優位性のあるトレンドフォロー系EAと組み合わせることで効果を発揮する
※本記事は情報提供を目的としたもので、特定のEA・金融商品の売買を推奨するものではありません。FX(外国為替証拠金取引)は元本が保証されておらず、レバレッジにより預けた証拠金を上回る損失が発生する可能性があります。記事内の成績・数値は過去の実績であり、将来の利益を保証するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。



